賃貸契約の更新とは?更新料の相場と必要な書類について。支払い義務はある?

公開日:2022年02月04日   最終編集日:2022年06月29日

賃貸契約の更新とは?更新料の相場と必要な書類について。支払い義務はある?
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目次

賃貸物件にお住まいの場合、ある一定の期間が過ぎると、退去して引っ越しをするか、契約更新をしてそのまま現在の物件に住み続けるかを決めなければなりません。


さまざまな事情を考慮して決断する必要がありますが、今回の記事では更新を検討している方向けに、事前に知っておくべき知識や気をつけるべき注意点などをお届けします。


更新に関する適切な知識を持つことで、スムーズな手続きを行うのに役立つだけでなく、更新時に不都合な状況に置かれてしまうリスクも軽減できますので、ぜひ最後までお読みください。

1. 賃貸借契約の更新とは?

賃貸借契約の更新とは、賃貸物件への入居時に貸主と交わした賃貸借契約を継続することを指します。


賃貸借契約には、契約期間(賃貸借期間)が定められており、分かりやすく言うとその期間がその賃貸物件に入居できる期間です。所定の契約期間を満了したあとも、そのまま同じ物件に住み続けたい場合は、賃貸借契約の更新を行う必要があります。

2. 賃貸更新料の相場は?更新なしの物件もある?

賃貸更新料の相場は?更新なしの物件もある?

賃貸物件の契約更新時には支出が伴います。一般的に支出の大部分を占めるのは、更新料です。ただし、必ずしも更新料が必要というわけではなく、更新料が不要のケースもあります。


この項目ではそんな更新料の有無や相場に関して、地域性なども考慮しながら詳しく解説していきます。

2.1 更新料の相場はどのくらい?更新の頻度は?

一般的に更新料は、一律の金額が定められているわけではなく、各物件の家賃によって異なります。例を挙げると、家賃の1カ月分といった形です。


2020年に発表された「全国の賃貸マンションの⼀時⾦共同調査結果(東急住宅リース株式会社 / ダイヤモンドメディア株式会社)」によると、2019年の更新料の全国平均は、家賃の0.35カ月分となっています。


ただし、更新料はその有無も含めて地域差がありますので注意が必要です。先ほどの調査結果を分析すると地域によって以下のような傾向が見られます。

・東京を含む関東地方は、全国平均と比較して更新料が高い(平均:家賃0.65カ月分)。

・関東地方以外のその他の地方は、更新料を不要とする物件の割合が高い(更新料が不要な物件の割合:北海道94.2%・九州地方83.7%など)

上記のように地域によって傾向はありますが、下記のようにその地域の傾向とは異なる慣習を持つケースも一部で見られます。



・京都府の更新料の平均は家賃の0.57カ月分(近畿地方の平均は家賃0.14カ月分)




全国更新料取得状況最新
都道府県別 更新料設定状況 上位・下位5都道府県

出典:東急住宅リース株式会社/ダイヤモンドメディア株式会社「全国の賃貸マンションの更新料共同調査結果」(2020年2月27日公表)

更新料に関しては、同じ地域でも物件によって更新料の有無の違いがあり、一概には言えません。ただ、全体的に関東地方では、更新料の徴収が広く定着していることが大きな特徴と言えるでしょう。


従って、他の地域から関東地方へ転居する方は、更新料の慣習があることをよく認識しておくことで、将来の住まいの計画に役立ちます。


賃貸借契約の契約期間は、2年間が一般的です。そのため同じ賃貸物件に住み続ける場合は、2年に1回の頻度で更新のタイミングが来ることになります。


ちなみに、法律では契約期間は2年でなければならないという定めはありません。しかしながら、主に2つの理由で契約期間を2年間とするケースが広く一般に普及しています。


一つめの理由は、1年未満の契約では、関係法律に照らし合わせると「期間の定めのない契約」と見なされてしまい、さまざまな不都合が生じるからです。
期間の定めのない契約になってしまうと、契約更新の区切りを設けることができません。それでは貸主の賃貸事業に支障をきたしてしまいます。


二つめの理由は、契約期間が3年以上の長期間になってしまうと、入居者がライフプランを設計しづらくなってしまうという点です。


このような理由から、契約期間は2年が適切とされ、広く普及しています。

2.2 更新がない物件とは?

ここまでは、賃貸物件で一般的に結ばれる賃貸借契約である「普通借家契約」の更新についてお伝えしましたが、ここでは、「定期借家契約」の更新に関して解説します。


定期借家契約というのは、契約期間の満了をもって、賃貸借関係が確定的に終了する契約のことです。この定期借家契約と普通借家契約との大きな違いは、更新の有無です。


定期借家契約は、普通借家契約とは異なり更新という概念がありません。つまり入居時に交わした契約期間が終了すると、更新という選択肢はなく、そのまま契約終了となります。


ただし、契約期間満了後に再契約という形で貸主と借主の双方が合意すれば、借主は引き続き同じ物件に住み続けることが可能です。これはあくまで再契約であり、普通借家契約に見られるような更新とは異なります。


従って、お住まいの賃貸物件で定期借家契約を交わしている場合は「更新がない物件」となります。


一般的には、普通借家契約が結ばれることが多いですが、なかには更新のない定期借家契約もありますので、どちらの契約が結ばれているか、しっかり確認しましょう。



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3. 更新時にかかる費用とは?更新料以外に必要な費用

更新時にかかる費用とは?更新料以外に必要な費用

この項目では、契約更新時に必要となる可能性がある以下の4つの費用について解説します。

  1. 更新料
  2. 更新手数料
  3. 火災保険料
  4. 保証委託契約更新料

3.1 更新料

前述したように更新料の全国平均は、家賃の0.35カ月分(2019年)です。都道府県別に見ると、もっとも更新料の平均が高いのは、東京都で家賃の0.71カ月分、最も低いのは北海道で家賃の 0.01カ月分となっています。


ただし、これらは更新料が不要な物件も含んだ平均更新料です。従って、更新料が必要な場合は、実際の更新料はこの数字より高くなると考えられます。


一般的には、更新料 が必要なケースでは、家賃の1カ月〜2カ月分が相場と言われています。

3.2 更新手数料

更新料の他に必要な費用に、更新手数料というものがあります。これは契約書作成の手数料など、更新手続きに必要な諸々の諸経費に対する費用です。


この更新手数料の相場は家賃の0.5カ月分と言われていますが、貸主によっては一律の料金を定めているケースもあり、物件によって異なります。


入居時に取り交わした賃貸借契約書には、その費用が明記されていますのでよく確認しましょう。

3.3 火災保険料

火災保険に加入している場合は、火災保険の更新に伴う費用もかかります。


火災保険への加入は、法律で義務付けられているものではありません。しかしながら、賃貸借契約を結ぶときに、貸主から火災保険の加入を条件として求められることが一般的です。


そのため、既に火災保険に加入している場合は、賃貸借契約の更新時にも引き続き火災保険への加入が求められると考えましょう。


通常、火災保険も賃貸の契約期間と同じ2年契約です。更新するときには2年間分の保険料を納める必要があります。(※年払いや月払いなどの分割払いが可能なケースもあります。)


火災保険料の相場は、物件の大きさや補償範囲、また特約の有無などによって異なりますが、目安は1万円〜2万円です。


なお、火災保険は必要な補償を満たしていれば、加入する保険会社は借主が自由に選ぶことができます。賃貸契約の更新時は火災保険を見直したい人にとって、ちょうど良いタイミングと言えるでしょう。







賃貸の火災保険とは?保険料の相場は?入らなければいけない理由を解説


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3.4 保証委託契約更新料

賃貸保証会社(家賃保証会社)を利用してしている方は、賃貸物件の契約更新を行うときに、同時に賃貸保証会社との契約更新手続きも行う必要があります。


賃貸保証会社の契約は1年契約が多く、更新にかかる保証委託契約更新料(更新料)の相場は、1万円〜2万円です。


こちらは火災保険とは異なり、通常は貸主や不動産会社から指定された賃貸保証会社を引き続き利用することが求められます。

4. 更新料を支払う義務はあるか?

更新料が必要な物件とそうでない物件があるように、更新料そのものは法律で定められているものではありません。


ただし、入居時に交わした賃貸借契約書に更新料についての記載があり、その支払いが必要ということであれば借主には契約上の支払い義務があります。


万が一、その更新料が相場よりかなり高額であるなど、社会通念と照らし合わせ、道理にかなっていないと思われるケースでは、その妥当性に対して異議を唱えることは可能です。


ただし、そのような例外的な場合を除き、契約上更新料の支払い義務があるケースでは、借主はその責任を果たす必要があります。

5. 更新で必要な書類。何が必要?

賃貸の更新で必要な書類は、賃貸借契約の更新に伴う契約書です。これは貸主や不動産会社が用意してくれます。それに必要事項を記入し、署名、捺印を行います。


ただし、入居時に提出した以下のような必要書類に変更点がある場合は、必要に応じて再度提出が必要になることがありますので注意しましょう。

  • 身分証明書
  • 源泉徴収票/確定申告書
  • 実印・印鑑証明書
  • 連帯保証人の身分証明書・印鑑証明書

また、入居の条件として、火災保険への加入や賃貸保証会社の利用が必要な場合は、それらの契約更新を証明する書類もあわせて必要になります。

6. 更新時に家賃が上がるケース。下がるケース。

更新時に家賃が上がるケース。下がるケース。

賃貸借契約の更新のタイミングで、契約内容の一部に変更が生じるケースもあります。さまざまな変更点が考えられますが、家賃(賃料)の変更もその一つです。


通常、賃貸借契約書には、賃料改定に関する記載があります。一定の条件を満たし、貸主と借主が協議を行った上であれば、家賃を変更することができるという主旨の内容です。


また、賃貸借契約書に賃料改定の記載がないケースでも、法律上、条件を満たせば貸主は家賃の値上げを請求することができます。


では、ここからは実際に更新時に家賃が上がるケース、また下がるケースについて確認していきましょう。

6.1 家賃が値上げされるケース

建物の賃貸借について定めた法律に「借地借家法」というものがあります。その法律には、家賃値上げに関する3つの条件について、以下のように記載しています。(※要約:借賃増減請求権/第三十二条

  • 土地や建物の租税等の増加によって、土地、建物の価格が上がり、現在の家賃が不相当となった場合
  • 経済事情の変動により、現在の家賃が不相当となった場合
  • 周辺の類似物件の家賃と比べて、不相当となった場合

いずれの条件にも正当性があり、家賃の値上げが、貸主の単なる一方的な要求によって行われるものではないことが分かります。


ただし、家賃の変更は貸主と借主の双方の合意が前提です。従って、値上げに納得ができない場合は拒否することもできます。


しかし、話し合いにも応じないなど、常識の範囲を超える非協力的な対応を続けたりすると、退去要求につながるようなトラブルに発展することも考えられますので注意しましょう。


通常、家賃の値上げは貸主に正当な事情がある場合に行なわれます。したがって、貸主の立場もよく考慮し、適切なコミュニケーションをとりながら対応するようにしましょう。

6.2 家賃が値下げされるケース

先ほどとは逆で、家賃が下がるケースもあります。ただし、貸主から家賃の減額を申し出てくれるケースはあまりありません。


従って、家賃を下げたい場合は、借主から減額請求を行う必要があります。賃貸借契約の更新のタイミングは、そんな家賃の減額交渉を行なうには適切な機会と言えるでしょう。


ただし、減額を申し出るときにも、以下のような正当で妥当性のある理由が必要です。(借地借家法※要約:借賃増減請求権/第三十二条

  • 土地や建物の租税等の増加によって、土地、建物の価格が下がり、現在の家賃が不相当となった場合
  • 経済事情の変動により、現在の家賃が不相当となった場合
  • 周辺の類似物件の家賃と比べて、不相当となった場合

周辺の相場と比較して現在の家賃が妥当かどうかがポイントになるでしょう。


長期間ずっと同じ物件に住んでいる場合は、物件の築年数も同じように経過しますので、入居時と同じ家賃というのは整合性に欠けるケースもあります。


家賃の値下げを希望する場合は、それらさまざまな事情を考慮し、交渉の余地があるかどうかを判断すると良いでしょう。


実際に家賃が下がらなかったとしても、更新のタイミングであれば、更新料に対して一定の配慮をしてくれることも考えられます。

7. いつまでに更新手続きを済ませるべきか?

賃貸物件の更新手続きはなるべく早めに行うことが理想です。少なくとも契約満了の1カ月前には済ませるようにしましょう。


少し専門的になりますが、賃貸物件の更新には、「合意更新」と「法定更新」の2種類の更新形態があります。


前者は、適切な更新手続きを経て契約更新を行なったもので、後者はそれ以外の更新です。それ以外というのは、借主が更新手続きを失念したり、更新料の不払いなどの手続き上の不備によって、期日までに更新手続きが済まされなかったケースを指します。


この場合でも、法律に基づいて契約は自動で更新されます。このように自動更新、つまり法定更新となった場合は、「期間の定めのない契約」となります。


既にお伝えしたように「期間の定めのない契約」では、契約更新の区切りが設けられません。そうなると、法律上、貸主は正当事由があれば、6カ月前にいつでも借主に対して契約の解約申入れを行なうことが可能になります。


つまり、法定更新のあとに正当事由が備わることで、借主は貸主から契約の解約を求められる恐れがあり、立場が不安定になってしまいます。


そのような事態を避けるためにも、更新手続きは契約満了の1カ月までに適切に済ませ、合意更新を行なうようにしましょう。

7.1 賃貸の更新はいつ通知される?

賃貸の更新は通常、貸主や不動産会社などの物件管理者側から通知してくれます。一般的に更新に関する通知が届くのは、契約満了の2カ月〜3カ月前です。


すでに更新の意思が固まっており、もう少し早めに手続きを開始したいと希望する場合は、物件管理者に連絡すれば、対応してくれることが多いでしょう。


もし2カ月前になっても通知が来ない場合は、念の為、物件管理者に連絡することをおすすめします。

7.2 所定の方法で契約を更新しましょう

更新手続きは、指定された所定の方法で行なうことが大切です。送られてくる更新通知書には、更新手続きの期日や必要となる費用、その他の重要事項も記載されています。それらをしっかり確認し、期日に間に合うように手続きを済ませます。


もし、手続きをする上で不明な点があれば、遠慮せずに物件管理者に問い合わせを行ないましょう。

8. 賃貸更新のタイミングで引っ越しをする方へ

賃貸更新のタイミングで引っ越しをする方へ

引っ越しを検討している人にとっては、契約期間の満了、つまり更新のタイミングにあわせて引っ越しを行うことで以下のようなメリットが得られます。

  • 更新料を支払いが不要
  • 契約期間満了のため、中途解約時のような違約金(損害金や短期解約違約金)の負担が不要

当然ですが、引っ越しには一定の支出が伴います。ただ、それらの費用負担に加えて、中途解約による違約金などが発生するケースはできるだけ避けたほうが良いでしょう。


特別な事情がない限り、契約更新のタイミングで引っ越しを行うことは、金銭的な負担を最も軽減できる絶好の機会であると言えます。

9. まとめ

今回は賃貸契約の更新について必要な情報をお届けしました。現在の住まいに満足している方は、今回の記事をぜひ参考にしていただき、スムーズでトラブルのない契約更新に役立てていただければと思います。
今の住まいに不満がある方、もしくは現在の自分のライフスタイルによりマッチした物件をお探しの方は、シンシアにお気軽にお問い合わせください。


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