鉄筋コンクリートのマンションの外壁の厚さはどのくらい!?防音や耐震との関係

公開日:2022年07月20日   最終編集日:2023年03月24日

鉄筋コンクリートのマンションの外壁の厚さはどのくらい!?防音や耐震との関係
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目次

マンションを探すときに、間取りや利便性の高さを重要視しがちですが、マンションの外壁の厚さによって住み心地が変わってきます。
鉄筋コンクリートのマンションの外壁の厚さを知らない方も多いのではないでしょうか?
今回は、マンション構造の壁の厚さや防音、耐震との関係について詳しく解説します。
マンション選びの際に、ぜひ参考にしてみてください。

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1. マンションの構造と外壁の厚さ

マンションの構造と外壁の厚さ

マンションはそれぞれ見た目が異なるのと同様に、外壁の厚さも異なります。
外壁とは、建物の外側の壁のことであり、雨風や日差しから建物を守ってくれる役割があり、マンション内にある隣の部屋を隔てる壁とは構造が違います。
マンションの外壁の構造はどのようになっているのか、外壁の厚さはどれくらいなのかを詳しく見ていきましょう。

1.1 マンションの壁の種類

マンションの壁の種類には、「外周壁」、「戸境壁」、「間仕切り壁」の3種類があります。
「外周壁」とは、その名の通り、外部と接している壁のことです。外壁タイルが使用されているため、見た目も分かりやすいです。
「戸境壁」と「間仕切り壁」の違いを知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか?
「戸境壁」とは、専有部分と共有部分や住戸ごとの壁を表わしています。廊下や隣の部屋と接する壁だと理解すると分かりやすいでしょう。
「間仕切り壁」とは、部屋の中にある間の壁のことです。例えば、リビングと主寝室の間にある壁や、洋室とキッチンの間にある壁のことです。


「外周壁」、「戸境壁」、「間仕切り壁」それぞれの断面図を解説します。
マンションの「外周壁」の構造は、外側から順に「タイル」、「コンクリート壁」、「断熱材」、空気層を挟んで、「石膏ボード」、「クロス」となっています。
コンクリート壁は、150㎜から180㎜の厚さがあり、断熱材の吹付は45㎜、石膏ボードは12.5㎜が一般的です。


「戸境壁」の構造は、「ビニールクロス」、「コンクリート壁」、「ビニールクロス」となっています。石膏ボードを使用しない理由は、石膏ボードによってできる空洞が音を大きく響かせてしまい、隣の住戸に伝わってしまうためです。
「戸境壁」で使用されるコンクリート壁は、約200㎜の厚さがあります。
石膏ボードを使用せず、RC壁に直接ビニールクロスを貼ることが多いです。


「間仕切り壁」の構造は、「9.5㎜の石膏ボード」、「21㎜の石膏ボード」、「50㎜のグラスウール」から成り立っています。
以前の「間仕切り壁」は、細い木材が使用されていましたが、現在はLGSという軽量鉄骨が使われています。
LGSを等間隔に並べ、石膏ボードが取り付けられている状態です。
マンションの壁の種類は、構造によって厚さが異なることを覚えておきましょう。

1.2 鉄筋コンクリート(RC造)の壁厚

鉄筋コンクリート(RC造)の壁厚の寸法について解説します。
鉄筋コンクリート(RC造)の壁厚は、一般的に150㎜以上です。鉄筋コンクリート(RC造)の壁厚は、「120㎜以上かつ壁板の内法高さの1/30以上」と定められているため、この基準を下回る壁厚は禁止されています。


以前の鉄筋コンクリート(RC造)の壁厚は、120㎜が一般的でしたが、施工基準や構造設計法が厳格化されるに伴って、150㎜の壁厚が多くなりました。
壁厚が大きいほど、防音性に優れているため、150㎜だけでなく、180㎜、200㎜、250㎜、300㎜と寸法を大きくしていくことが可能です。
鉄筋コンクリート(RC造)の壁厚は、ミリ単位の細かい寸法の精度は難しく、設計上壁厚を大きくする場合は、その都度200㎜、250㎜と対応していくことになります。

1.3 マンションの適切な外壁の厚さとは

マンションの適切な外壁の厚さは、150㎜から180㎜が一般的ですが、住み心地の良さを考えると180㎜以上が良いです。
外壁の厚さによって、防音効果耐震性に影響があるからです。
マンションは、ダブル配筋という鉄筋を2列入れる構造をしている外壁が多いですが、耐力が小さく亀裂が入りやすいシングル配筋の物件もあります。


壁厚が180㎜や200㎜の場合は、ダブル配筋でしょう。
マンションの外壁の厚さで住むところを見極めたい方は、180㎜以上の物件を選択することをおすすめします。

1.4 居住内の壁厚は外壁と異なる場合がある

居住内の壁厚は外壁と異なるケースがあります。
例えば、外周壁は180㎜であったとしても、間仕切り壁が180㎜とは限りません。
マンションなどの集合住宅で音が気になるところは、外からの話し声や上下階の足音、隣人の部屋が多いことでしょう。
そのため、外と面する外周壁や住戸の戸境壁の防音性を高める必要があります。外周壁や戸境壁と比較すると、居住内の間仕切りは防音性を持たせる必要はなく、それによって外に音が響きやすくなる心配はありません。

2.マンションの壁厚と防音性

マンションの壁厚と防音性

先述の通り、マンションの壁厚と防音性には密接な関係があります。
マンションによって、壁厚は異なるため、外周壁だけでなく、戸境壁や床の壁厚にも注目する必要があります。
マンションの壁厚と防音性について詳しく見ていきましょう。

2.1 壁厚が大きいほど防音性に優れている

壁厚が大きいほど防音性に優れた物件となります。
例えば、外周壁が150㎜のところと200㎜のところでは、200㎜の物件が防音性の高い物件です。外からの音を遮断するために、多くの物件は外周壁や戸境壁の壁厚が大きくなり、居住内の間仕切り壁は、鉄筋コンクリート以外の材料が使用されることがあります。
壁厚が大きいほど防音性に優れているため、防音性の高いマンションを探すときは、壁厚が大きい物件を選択しましょう。

2.2 床の厚さとの関係

壁厚と同様に、床の厚さも厚いほど防音性が高くなります。
床コンクリートの厚さを「スラブ厚」と呼び、200㎜から250㎜が望ましいです。
しかし、「ボイドスラブ工法」というスラブに複数の空洞を空ける場合は、250㎜以上のスラブ厚が必要となります。


近年、床と天井が一体になっている二重構造のものを見かけることもありますが、音が響きやすくなる太鼓現象が発生する可能性が高いです。
二重構造の物件は、配線や配管工事がしやすい特徴があり、将来リフォームを検討している物件に向いていますが、床スラブは広くなるほど遮音性の問題があります。


二重構造の隙間に緩衝材を敷き詰めることで、遮音対策になります。
その他にも、カーペットを敷くなど床の仕上げ材によっても遮音性が異なります。
床の足音が気になる方は、スラブ厚を確認するだけでなく、住んだ後に自分で対策を行うことも可能です。

3. マンションの壁厚と耐震性

マンションの壁厚と耐震性

マンションの壁厚と耐震性には、深い関係があります。
一般的な戸建て住宅とは異なり、マンションは施工規模も大きくなり、地震が発生したときは被害も大きくなりがちです。
防災効果が低いマンションは、地震でひび割れが起きるなどメンテナンスに費用がかかってしまいます。
どのようなマンションを選ぶべきかについて、マンションの壁厚と耐震性の関係を解説します。

3.1 外壁は耐震壁の役割も担う

外壁は耐震壁の役割も担っています。壁厚が厚いほど、壁の耐力が上がり、地震に対する抵抗力も大きくなるものです。
耐震性が高いマンションを選ぶときは、壁厚が大きい物件を選ぶことがおすすめです。
物件によっては、構造が木造や鉄骨造の場合、外壁にはサイディングが使用されます。
しかし、RC造は鉄筋コンクリートが使用されるため、壁厚が大きい方が耐震性も高いです。地震が発生した時には地震力を負担する耐震壁の役割も兼ねています。

4. マンションの壁の厚さの確認方法

マンションの壁の厚さの確認方法

マンションの壁の厚さによって、音の響きやすさが異なるため、音に敏感な人は特に注意が必要です。「在宅ワークしている方」や「騒音トラブルが気になる方」は、住み心地によって日々の生活に影響が出てくるでしょう。
マンションの壁の厚さを確認するにあたって、直接コンクリート壁をめくる訳にはいきません。マンションの壁の厚さを確認する場合は、内見時がおすすめです。
内見時に不動産会社の担当者が同行することになるため、防音性の確認をしたいと伝えておくとスムーズに進みます。
どのようにマンションの壁の厚さを確認するのかを具体的にご紹介します。

4.1 壁を叩いて確認する

マンションの壁の厚さを確認するために、壁を軽くコンコンと叩いてみてください。そのときの音が重要になります。
軽い音や乾いた音、空洞を感じるような音がする場合は、コンクリートよりも防音性が低い石膏ボードが使用されてる可能性が高いです。
コンクリート壁が使用されている防音性の高い壁の場合は、詰まった重たい音がして、硬い質感をしています。


先述の通り、マンションの全ての壁が同じ材質とは限りません。
そのため、外周壁や戸境壁を中心に防音性を調べると良いでしょう。可能な限り、四方の壁を確認してみてください。

4.2 部屋で手を叩いて反響を確認する

マンションの壁の厚さを調べるために、部屋で手を叩いて反響を確認してみることもおすすめです。
部屋の真ん中に立ち、手を叩いてみてください。
音が反響してくる部屋は、防音性が高く、音が抜けてしまっている場合は、上下階や他の部屋に音が抜けているため防音性が低いと言えます。
いきなり部屋の真ん中で手を叩くと、驚かせてしまう可能性が高いため、内見時に不動産会社の担当者に許可をとってから行うようにしましょう。

4.3 マンションの図面を見せてもらう

マンションの壁の厚さを確認するときは、マンションの図面を見せてもらうことが大切です。
マンションには、竣工図という建物の図面が保管されています。竣工図を用いて、外周部や戸境壁が180㎜以上あると防音性が高く安心です。


壁の厚さだけでなく、床の厚さも確認してみてください。床の厚さは、200㎜以上あると足音などが響きにくいです。
その他にも、不動産会社の担当者に直接壁厚について質問してみるとより詳しい話を聞くことができるでしょう。

5. マンションの外壁を確認する際のポイント

マンションの外壁を確認する際のポイント

マンションの壁厚を確認することで、住みやすいかどうか調べておくことも重要です。
マンションの外壁を確認するときのポイントを4つご紹介します。

5.1 天井や床の厚さ

天井や床の厚さを確認しておくことがポイントです。
天井や床には軽量衝撃音と重量衝撃音の基準の数値があります。
軽量衝撃音は、LLという数値で表わされ、LL-45以下が推奨されており、重量衝撃音はLHという数値で、基準はLH-50以下です。
マンションの構造の性能が書かれている設計図書やパンフレットに記載されているため、基準を満たしているかを確認しておきましょう。

5.2 断熱効果

マンションの外壁を確認するときのポイントは、断熱効果があるかどうかです。
新築マンションには、断熱材が使用されており、高い断熱性に期待できますが、古いマンションには断熱材が使用されていない場合があります。
鉄筋コンクリートのマンションに断熱性を期待することはできないため、コンクリートの外側に断熱材を組み込む工事が必要です。
断熱材を組み込む工事がされているマンションかどうかを確認するためには、不動産会社の担当者に確認してみましょう。

5.3 防音効果

マンションの外壁は、防音効果があるかどうかを確認することがポイントです。
一般的に外壁が厚いマンションは、防音性能が高いですが、構造によっては必ずしも壁厚と防音性が一致する訳ではありません。
壁の厚さだけでは、判断が難しい場合もあるため、実際に希望するマンションで防音効果が高いかどうかの確認を行うようにしましょう。

5.4 耐震性

マンションの外壁を確認するときのポイントは、耐震性が高いかどうかです。
マンションの壁の厚さが大きいほど、耐震性に優れていますが、古いマンションは壁厚が120㎜の物件が多いです。
耐震診断することも含め、どのような地震対策がなされているかを不動産会社の担当者に質問してみてください。

6. まとめ

マンション構造の壁の厚さや防音、耐震との関係について解説しました。
壁厚は厚いほど防音性が高まり、耐震性が向上します。
希望するマンションを探すときは、鉄筋コンクリートのマンションの外壁の厚さにも着目してみてください。

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