買付証明書をキャンセルしたい?トラブルにならないために知っておきたいペナルティと注意点について解説!
公開日:2022年12月05日 最終編集日:2022年12月06日
目次
- 1. 不動産取引における買付証明書とはどんな書類なのか
- 2. 買付証明書は「買いたい」の意思表示!そこに法的効力はない
- 3. 買付証明書はキャンセルできる!その方法と注意したいポイントとは
- 4. 買付証明書の注意点!
- 5. 買付証明書は売主様とのファーストコンタクト!注意したいポイントをチェック!
- 6. 好印象!優先される購入者の特徴とは?
- 7. まとめ
マンションなどの不動産売買の慣習の一つに購入希望者が売主へ提出する買付証明書というものがあります。この買付証明書とは一体どのような性質の書類なのでしょうか?
今回の記事では買付証明書について分かりやすく解説すると同時に、買付証明書提出後のキャンセルの可否やペナルティの有無についても説明します。
不動産の購入を検討している方にとっては知っておくべき基本知識を得られるだけでなく、買付証明書を原因としたトラブルを防ぐことにも役立ちますので、最後までお読みください。
1. 不動産取引における買付証明書とはどんな書類なのか
まずはじめに買付証明書とはどんな書類なのかをお伝えします。
ちなみに買付証明書は不動産取引の初期段階で必要な重要な書類の一つですので、内容をよく把握していない人はもちろん、内容を知っているという人も復習の意味でぜひチェックしてみてください。
1.1 買付証明書とは
一般的に買付証明書と言われることが多いですが、買付申込書や買受証明書、また購入申込書と呼ばれることもあります。
このように異なる名称で呼ばれることもありますが役割や意味はどれも同じで、「不動産を購入したい人が売主に対してその意思を示す」という意味と役割を担っています。
1.2 買付証明書に記載される主な項目
買付証明書には定められた書式があるわけではありません。しかし、書類の役割を果たすために最低でも以下のような6つの内容を記載することが通常です。
1.購入希望者の住所・氏名・年収
2.購入条件
3.物件情報
4.住宅ローン利用の有無
5.契約・引渡希望日
6.有効期限
ではそれぞれの項目を順番に確認していきましょう。
1.3 ①購入希望者の住所・氏名・年収など
まず購入希望者の情報を記載します。氏名や住所はもちろんですが、年収も記載することがポイントです。年収を記載することにより、売主は購入希望者の経済状況をある程度推測することができ、対象の不動産を購入することに問題がないかどうかの判断材料を得ることができます。
したがって正確な年収を記載することが求められますので、どうしても物件を購入したいからと言って偽った情報を記載することのないようにしましょう。
1.4 ②購入条件
次に購入条件を記載します。購入条件とは購入希望額や手付金の金額のことを指します。購入希望額は任意で決めることができ、必ずしもパンフレットやインターネットの広告で記載されている額を記入する必要はありません。
しかし、高すぎたり低すぎたりすると以下のような問題が生じるケースがありますので注意しましょう。
高すぎる場合 | 高い購入希望額は売主に対して好印象となる一方、実際の支払い能力を超えて高すぎる金額を記載している場合は、信用を失ったり売買契約を進めていく中でトラブルになるケースがある。 |
低すぎる場合 | 購入希望額が低すぎる場合、売主が想定している最低ラインの希望売値を満たせない可能性があると同時に、他の購入希望者との比較で不利になるケースがある。 |
購入希望額と同様に手付金をいくら支払う予定なのかも記載します。手付金は物件価格、つまり購入希望金額の5~10%が相場です。ちなみに手付金には下限は設けられていませんが、上限は宅地建物取引業法で物件価格の20%と決められていますので注意しましょう。
手付金について詳しく知りたい方は別の記事「マンション購入時の頭金はいくら必要なの!?頭金なしでも購入できる?」の後半で詳しく解説していますので確認してみてください。
1.5 ③物件情報
買付証明書には購入を希望している物件情報の記入も必要です。具体的にはマンション名や所在地、家屋番号、また物件の構造や面積などを記入します。
家屋番号 | 登記簿上、法務局が付与している不動産ごとの個別番号 |
物件の構造 | 木造、軽量鉄骨造木造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄骨造(軽量・重量)など |
物件情報の項目で詳細が分からない場合は、仲介してくれる不動産会社に問い合わせて確認するようにしましょう。
1.6 ④住宅ローン利用の有無
購入を希望している不動産の購入にあたって、住宅ローンを利用する予定があるかどうかも記載します。利用する場合、どの程度の住宅ローンの額(融資額)を予定しているか、また利用予定の金融機関情報など、売主に対して高い計画性をアピールするためにできるだけ詳しく記載するのがおすすめです。
ちなみに住宅ローンを利用する場合は、買付証明書に融資特約を付帯するかどうかも記載しておくと良いでしょう。融資特約とは、「住宅ローンの審査に落ちて融資が下りないときに購入希望そのものを撤回できる」という条項のことです。
この融資特約を付帯しておくことで、住宅ローンの利用を前提とした購入希望であることを明確にでき、住宅ローン審査不通過によって売買契約が破断してしまっても手付金の返還や違約金の免除などを無条件で受けられます。
1.7 ⑤契約・引渡希望日
買付証明書には契約までの日程や引き渡し希望日も記載しましょう。スケジュールをある程度提示することによって、具体的性が増すのはもちろん、買主、売主ともに計画的に今後の予定を立てやすくなるというメリットもあります。
1.8 ⑥有効期限
最後の6つめは有効期限です。この有効期限とは買付証明書そのものの有効性がいつまで効力を発揮するかという意味になります。
通常は2週間ほどに設定することが多いですが、余裕を持って1ヵ月程度にするケースも少なくありません。
ここまで買付証明書に記載すべき6つの内容を紹介しましたが、売主によっては預貯金額などの金融資産の額や有無を知りたいという人もいますので、担当の不動産会社などに確認しながら必要に応じて内容を追加しながら作成しましょう。
1.9 買付証明書を提出するタイミング
マンションなどの不動産購入がはじめてという人の中には「いつ」買付証明書を提出するのか分からないという人もいるでしょう。買付証明書の提出はその不動産の購入の意思が固まったときになりますので、具体的なタイミングがあるわけではありません。
しかし不動産市場に出ている時点で「いつ・だれが」購入するか分かりませんので、購入の決断がある程度固まったら提出は早い方がよいでしょう。通常は内見をしたあとのタイミングになることが一般的です。
1.10 準備するものや必要書類はある?
買付証明書は購入したいという希望を書類で示し、不動産取引の前半の段階で用いられるものですので、この段階で特に別途準備するものや必要な書類はありません。
だた、売買契約が今後進んでいくことも想定し、利用予定の金融機関に住宅ローンの申し込みに必要や書類などを聞き、その準備などしておくと、よりスムーズに取引が進められますのでおすすめです。
1.12 金銭の支払いはある?
買付証明書の提出時に金銭の支払いは生じません。手付金に関しては先ほど少し別記事で紹介したように売買契約を結ぶときに買主から売主に対して支払われるお金です。これは安易な購入契約と契約後のキャンセルを防ぐことを目的としたものであり、買付証明書の提出時点ではまだ契約に至っていないので必要ありません。
しかし申込証拠金や申込金、もしくは交渉預かり金という名目で別途支払いが必要なお金もあります。これらを支払うことによって対象の不動産を他の希望者に売ることなく「押さえておく」ということが可能です。
手付金と異なり上限が定められているわけではありませんが、5万円~10万円が相場になっています。
ただこれらの申込証拠金や申込金、また交渉預かり金を支払ったからと言って無期限に物件を「押さえられる」というわけではなく、10日間ほどがその有効期間になることが一般的です。
ちなみに必ずしも申込証拠金が必要というわけではなく、物件や売主によって不要にしているケースもあります。ただ少なからず金銭の支払いが生じる申込証拠金のおかげで、冷やかしでの購入希望者を減らせる効果があり、これらの支払いは慣習化されつつあると言えます。
2. 買付証明書は「買いたい」の意思表示!そこに法的効力はない
ここまで解説してきた買付証明書ですが、実は法的な効力はありません。つまり買付証明書なしでもマンションなどの不動産を購入することは可能であり、さらに必ずしも記載された内容を遵守しなければならないということでもありません。
ではなぜ買付証明書を提出するケースが多いのか、次の項目で解説しますのでチェックしてみてください。
2.1 買付証明書を提出する理由
買付証明書を提出する理由は、すでにお伝えしたように「不動産を購入したい人が売主に対してその希望意思」を示すためです。法的効力はないものの、書類で正式に通達することによってその意思表示を口頭よりも明確にすることができ購入希望の信憑性は高まります。
さらに買付証明書の記載内容によって売主はどの希望者と交渉すべきか判断することもでき、無駄をできるだけ省いたスムーズな不動産取引を可能にする効果もあります。
円滑な不動産取引と実際の売買交渉へと進む切符となっているのが買付証明書と言えるでしょう。
2.2 買付証明書と売買契約書の違い
冒頭で買付証明書は不動産取引を行う上で重要な書類の一つであるとお伝えしましたが、他の重要な書類として売買契約書というものがあります。
それぞれ性質や必要となるタイミングが異なりますので単純に重要度を比較することはできませんが、両者の違いを把握することは不動産取引を行う上で役立ちますので、下の表でチェックしてみましょう。
法的効力 | キャンセル | 手付金 | |
買付証明書 | 無 | 可 | 不要 |
売買契約書 | 有 | 原則不可※可能な場合でもペナルティあり | 必要 |
上記の他にも買付証明書の提出段階では購入希望者の本人確認書類が不要である点など、細かな違いはあります。買付証明書に関する大きなポイントは、法的効力がなく提出後もキャンセルが可能な点です。
つまり、まだあくまで契約前の段階であると同時に、買主とも具体的な交渉も行っていないため、事情があれば取り消しすることができるということになります。
2.3 申込証拠金と手付金の違い
この項目では分かりづらい申込証拠金と手付金の違いについて表にまとめましたので、確認してみてください。
申込証拠金 | 手付金 | |
支払うタイミング | 買付証明書の提出と同時、もしくはその後 | 売買契約書を交わすとき |
法的効力 | 無 | 有 |
法的な上限の有無 | なし | 有(上限は物件価格の20%) |
売買契約不成立時の返金の有無 | 特別な事情がない限り返金される | - ※売買契約の締結が前提のため、不成立時は支払いそのものが生じない |
売買契約成立時の扱い | 通常は頭金に充当される | 通常は頭金に充当される |
売買契約成立後に買主の都合で契約をキャンセルした場合 | 特別な事情がない限り返金される | 不可 |
注意すべきポイントは手付金は一度支払ったら購入希望者の一方的な都合や心変わりなどの理由で契約をキャンセルしても返金されないということです。手付金は売買契約時に支払われるものであり、その支払いが契約の成立を意味する側面もあるため、買主、売主ともに締結した売買契約をしっかり履行する責任を負います。
したがって契約不履行が起こった場合は、手付金が違約金(ペナルティ)のような性質で扱われます。
ちなみに手付金は大きく分けて「解約手付・違約手付・証的手付」という3つの種類があり、その役割も異なりますので、詳細を知りたい方は別の記事「マンション購入時にかかる費用の内訳を徹底解説!」の「手付金」の項目をチェックしてみてください。
3. 買付証明書はキャンセルできる!その方法と注意したいポイントとは
買付証明書には法的効力がないことは既にお伝えしました。そのため比較的容易にキャンセルすることは可能です。ここではその方法や期限、またペナルティの有無などについて解説します。
3.1 キャンセルする方法
まず買付証明書をキャンセルする方法ですが、これは不動産会社、もしくは直接売主に提出している場合は売主に連絡をするだけです。そのときにキャンセルの理由も伝えると誠実ですが、必ずしも伝えなければならないということはありませんので、「諸事情」でキャンセルしたい旨を電話やメールなどで伝えるだけで問題ありません。
3.2 いつまでにキャンセルしないとダメ?
買付証明書は売買契約を交わすまでであればいつでもキャンセルできます。売買契約の締結までにはさまざまなプロセスがありますが、どの段階においても契約前であればキャンセルできることは覚えておくと良いでしょう。
後述しますが、買付証明書を提出したからと言って購入が確定して何らかの法的拘束力が生じているわけではありません。安易に買付証明書を提出し、不誠実で身勝手な理由でキャンセルをするのはマナーやモラルに反するため控えるべきですが、「売買契約を結ぶ前までであればキャンセルできる」ということを把握し、冷静に購入する不動産を決めるようにしましょう。
3.3 ペナルティはある?
買付証明書をキャンセルしたとしても違約金などのペナルティはありません。ただし、前述したように売買契約書を結んだあとは手付金の没収など契約内容に応じて相応のペナルティがありますので注意が必要です。
ちなみに申込証拠金は特別な事情がない限り返金されますので、買付証明書の提出したあとに申込証拠金を払っていたとしても返金されます。
特別な事情というのは 売買契約が成立に至らなかった場合でも返金されないことを予め定めているケースや、申込証拠金という名目ではあるものの別の性質を持つ金銭の支払いと見なされたりするケースです。
したがって申込証拠金を支払う場合は、返金の確実性を高めるために預かり証や金銭受領書などを受け取るようにし、契約不成立の場合でも返金されるということを明記してもらうようにしましょう。
3.4 よくあるキャンセル理由
買付証明書を提出したあとにキャンセルする理由は以下のようにさまざまです。
- 気が変わった
- 家族や親戚などから反対された
- 購入したい不動産が他に見つかった
- 経済的事情が急変して予定を変更せざるを得なくなった
上記のようなさまざまな理由が挙げられますが、購入を希望する自分自身だけでなく仲介不動産会社や売主にとっても無駄な時間と手間をかけないように、買付証明書を提出する前によく検討するようにしましょう。
買付証明書のキャンセルは容易であるものの、世間一般的には購入を前提として提出する書類になりますので、マナーとモラルを守ることは大切です。
4. 買付証明書の注意点!
ここでは買付証明書に関する注意点をいくつか紹介します。提出する前に一度目を通してトラブルのない不動産取引を行えるようにしましょう。
4.1 購入を確約するものではない
まず最初に注意することは、買付証明書の提出をもって購入が確約されるものではないということです。あくまで購入の希望を売主に書面で伝える書類ですので、気に入った物件が見つかり買付証明書を提出しても他の購入希望者が購入してしまう可能性もあること、また購入の意思がなくなったりした場合は売買契約書の締結前であればキャンセルできることは覚えておきましょう。
4.2 優先順位は任意で決まる
二つめの注意点は、買付証明書の提出順は売主との交渉できる順番と同じではないということです。つまり他の購入希望者よりも早く提出したからと言って、最初に交渉でき売買契約書を結べるということではありません。
どのようにして交渉する希望者の順番や優先順位を決めているかは、物件を取り扱っている不動産会社や売主によって異なります。買付証明書の提出順のケースもあれば、希望購入価格の高い順となるケース、また売主が独断で選ぶケースもあります。
提出が早かったからと言って購入できる思い込んでしまうと、それが叶わなかったときにはライフプランを大きく変更を行わなければならなくなることも想定できますので、プランBなどを用意してどんな結果になっても柔軟に対応できるようにしましょう。
4.3 損害賠償が発生する可能性も
買付証明書に法的効力はありませんので前述したようにキャンセルしてもペナルティなどが科せられることはありません。しかし、特に悪質であると裁判などで認められ、売主や仲介不動産会社に損害が発生しているケースでは損害賠償責任を負う可能性もありますので注意が必要です。
不動産取引は高額な金銭のやり取りや多くの実務が伴うため、購入希望の意思表示となる買付証明書を提出した時点から、売主や不動産会社にとって業務上の負担が生じます。
通常の業務範囲内であれば問題にはなりませんが、購入希望者の態度によってそれを超えた範囲を対応しなければならず、その結果不動産事業を阻害するようなことがあれば訴訟を起こされる可能性はゼロではありません。
常識の範囲内であれば損害賠償に関して心配する必要がありませんが、相手の立場や事情などもしっかり理解した上で買付証明書の提出、また売買契約に向けた交渉を行うようにしましょう。
5. 買付証明書は売主様とのファーストコンタクト!注意したいポイントをチェック!
買付証明書は物件購入希望者と売主とのファーストコンタクトとなることがほとんどです。したがってこの書類によって売主が購入希望者に抱く第一印象は大きく変わります。
この項目ではそんな第一印象を少しでも良くするための注意点をお伝えしますので、ぜひ確認してみてください。
5.1 安易な価格交渉はしない
買付証明書の中で売主が特に重要視するものの一つには希望購入価格が挙げられます。
購入希望者としてはできるだけ良い物件を安く買いたいと思うことは当然ですが、反対に売主はできるだけ高く売りたいと考えることが普通です。実際の交渉ではこの正反対の思惑をすり合わせて両者が納得できる価格にしていきますので、買付証明書で安易な価格交渉を匂わせたり、的外れな希望価格を記入しないようにしましょう。
必ずしも記入した価格で購入しなければならないということはありませんので、交渉の余地を残した価格を記載できるのが理想です。そのために周辺相場なども確認したり、仲介している不動産会社に売主の希望をそれとなく聞いてみるというのも役に立つことがあります。
売主は事情があって不動産を売却したいと考えているため、価格だけでなく売買契約までのスムーズさやスピードも重視することは珍しくありません。高値での売却を狙ってずっと売れないよりは、少し値を下げて早く売りたいという人もいます。
まずは交渉のテーブルに座ることができ、かつ価格に関しても交渉の余地を残すような購入希望価格を記入するようにしましょう。
5.2 とりあえずで複数提出しない
複数の物件に対して買付証明書を提出することにも注意しましょう。
明確な理由があってそのようにすることは悪くありませんが、「とりあえず」という気持ちでそれを行っていることが不動産会社や売主に知られると印象は悪くなります。
買付証明書は本当に購入を希望している物件にだけ絞って提出するのがおすすめです。
5.3 正しい情報を記載する
当然ですが、買付証明書に記載する内容は偽りのないものにしましょう。
年収や金融資産などを偽って多めに記載し、他の購入希望者よりも優位に立とうとすることはマナー違反です。このような偽装を行うよりも、節度を持ち、正攻法を使って希望の物件を購入できるように努力や工夫をするようにしましょう。
5.4 手付金の額は10%以上が好印象
既にお伝えしたように手付金の相場は5%~10%ですが、好印象を得るためには10%以上に設定することがおすすめです。
手付金は売買契約締結後のキャンセル時には違約金のような役割を果たしてくれます。したがって、その金額が高いと購入希望者の本気度や誠意が売主によく伝わります。
手付金は売買契約後にキャンセルすることなく物件が引き渡されたときには頭金に充当されますので、多くしたからと言って損をするわけではありません。
住宅ローンの支払い額や不動産購入後の生活にも関係してきますので無理な金額を記載するのはよくありませんが、できる範囲で多めに設定すると売主が抱く印象は良くなり、希望の物件を購入できる確率は高まるでしょう。
6. 好印象!優先される購入者の特徴とは?
この最後の項目では、売主が好印象を抱く購入希望者の特徴をいくつか紹介します。ちょっとした工夫と手間で好印象を与えることも可能ですので、ぜひチェックしてみてください。
6.1 満額購入
まず第一に、売主が希望している売却価格そのままの「満額」で購入してくれる人は売主から優先されることがほとんどです。
どうしても手に入れたい物件であれば、他の購入希望者との差をつけるべく、満額での購入を買付証明書で打診しましょう。
単に購入金額を満額で記載するだけでなく、それが可能な根拠も提示できると希望通りになる可能性は高まります。
6.2 現金一括購入
買付証明書には住宅ローンが通った場合に限って購入するという「融資特約」を記載することが多いです。
購入希望者にとっては非常に助かる条件ではありますが、売主からすると「住宅ローンの審査次第」という不安要素の一つになります。しかし、現金での一括購入であれば売主の不安を解消することができるため、他の購入希望者よりも優位に立つことができます。
不動産は高額となることが多いため現金一括で購入できる人は限られますが、もしそれが可能であれば購入の可能性を高めるためにも現金一括で購入する意思があることを買付証明書に記載してみるのも良いでしょう。
6.3 事前審査OK
住宅ローンを利用する人は金融機関で事前審査を通しておき、その情報を買付証明書に記載しておくと優位になります。
事前審査は金融機関によっては仮審査とも呼ばれますが、数日かかることも一般的です。売主からすると事前審査が通っており、残りは本審査だけとなると信頼度が高まると同時に、売買契約や引き渡しまでの期間も短縮できるため好印象となります。
6.4 手紙
買付証明書に手紙を同封するのもおすすめの方法です。例えば満額購入ではなく、それよりも低い価格での購入を希望する場合にその根拠を簡潔に記載します。
根拠があり、それが理にかなっていれば売主は販売価格に関して再考する可能性も出てくるでしょう。
また「なぜこの物件を購入したいのか」という事情も書き記し、情に訴えるということも可能です。もちろん情に訴えて成功することを過度に期待するのは控えた方がよいですが、売主にも人情があり、この人であれば今後も大切に物件を扱ってくれると分かれば印象が悪くなることはありません。
もし同じような条件での希望者がそろって迷った場合は、手紙の有無で買主が決まる可能性もあります。ただし要点の定まらない長い手紙は逆効果ですので、短くて読みやすく、かつ内容が簡潔に書かれた手紙にするようにしましょう。
7. まとめ
今回は買付証明書について詳しく解説しました。買付証明書は売主とのファーストコンタクトであり、印象を決める大事な書類です。正確な情報を記入することはもちろん、できるだけの工夫や努力をして希望の物件を購入できるようにしましょう。
ぜひ今回の記事を参考にしていただき、トラブルのない、かつ売主から買主として選ばれる買付証明書を作成してみてください。