定期借家契約とは?途中で解約できる条件とは?再契約はできる?

公開日:2022年01月12日   最終編集日:2023年01月17日

定期借家契約とは?途中で解約できる条件とは?再契約はできる?
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目次

賃貸物件を探している方は、定期借家契約について理解を深めておくことがおすすめです。欧米では主流の契約形態となっており、定期借家契約を意識して物件探しを行えば、自分の目的に合った物件を選びやすくなるでしょう。定期借家契約の基礎知識や普通借家との違いや、途中解約や再契約の具体的な内容について詳しく解説します。

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1. 定期借家とは?

近年注目を集めている定期借家とは、具体的にどのようなことを意味するのでしょうか。正しい読み方や概要など、まずは定期借家の基本を押さえておきましょう。普通借家との違いも解説します。

1.1 定期借家とは?読み方は?

定期借家とは、賃貸借契約で定めた期間が満了すると、契約が終了する賃貸住宅のことです。正しくは「ていきしゃっか」と読みます。


現在の日本における賃貸住宅のほとんどは、契約期間満了後も更新が可能な普通借家契約です。入居者が希望すれば、基本的にはいつまでも同じ部屋に住み続けられます。


一方、定期借家は原則として期間満了後に再契約ができません。入居者が引き続き同じ部屋に住みたいと思っても、オーナーが合意しなければ再契約は不可能です。


定期借家制度は、2000年3月の法改正により誕生した、日本では比較的新しい制度です。マナーを守らない入居者に長期間居座られたり、退去してもらうために余計な立ち退き料の負担を余儀なくされたりするオーナーのリスクを考慮し、より良質な住宅の供給を促す目的で設けられました。


定期借家は欧米では広く普及していますが、日本では賃貸住宅のわずか数%にしか導入されていません。ただし、定期借家のメリットに注目するオーナーは増えており、今後は日本でも定期借家物件の増加が予想されています。

1.2 普通借家との比較表

賃貸借契約は、普通借家契約と定期借家契約の2種類に大別されます。下の表でそれぞれの違いを理解しておきましょう。 普通借家契約と定期借家契約の比較表 普通借家は契約方法についてのルールがなく、口頭でも契約が成立します。一方、定期借家契約は、借地借家法に基づき必ず書面で締結しなければなりません。


定期借家契約では、期間満了時に契約も終了することの説明義務が、オーナーや不動産会社に求められます。説明義務を怠った場合、普通借家契約として扱われます。

2. 定期借家契約のメリットとデメリット

借主とオーナーのそれぞれにおける、定期借家契約のメリット・デメリットを紹介します。定期借家契約が適している人についても詳しく見ていきましょう。

2.1 定期借家のメリット

定期借家契約における借主側のメリットとして、賃貸物件を期間限定で借りられることが挙げられます。普通借家は一般的に2年契約の縛りがある一方、定期借家なら1年未満の短期間でも契約が可能です。ライフスタイルに合わせて住宅を決められます。


相場より安い賃料で借りられる可能性が高いことも、借主側における定期借家のメリットです。基本的に長期で住めない定期借家は借手がつきにくいため、多くの物件では賃料を相場より低めに抑えています。


良質な物件が多い点も定期借家の魅力といえるでしょう。リロケーション物件の戸建てや分譲マンションなど、通常の賃貸物件以外にも住める可能性があります。

2.2 定期借家のデメリット

定期借家契約は期間が明確に定められるため、契約期間中の途中解約が困難です。家族の介護・転勤・療養などのやむを得ない事情がない限りは、基本的に途中解約はできません。


途中解約した場合も、特約がないケースでは、満了までの期間分の家賃を請求される可能性があります。定期借家を選ぶときは、途中解約ができないリスクを考慮しておく必要があるでしょう。


再契約できない可能性が高い点も定期借家のデメリットです。期間満了後にオーナー側で物件の取り壊しや建て替えを予定している場合は、借主に問題がなくても再契約はできないでしょう。


仮に再契約できたとしても、引き続き住み続けるためには、新たに初期費用を用意しなければなりません。ただし、オーナーによっては再契約時の条件を緩和してくれるケースもあるため、再契約を希望する場合は相談してみましょう。

2.3 定期借家契約のオーナー側のメリット・デメリット

オーナー側の定期借家契約のメリットとしては、期間満了時に必ず退去してもらえることが挙げられます。一定期間のみ自宅を賃貸に出すなど、所有物件の細かいやり繰りが可能です。予定通りに退去してもらえれば、老朽化した物件を建て替えるときの立ち退き料を支払う必要もありません。


入居者の様子を見ながら再契約できる点もオーナー側のメリットです。入居期間中に問題を起こさなかった入居者なら、安心して再契約を提案できます。再契約ごとに賃料を一定割合増額するといった条件設定も可能です。


定期借家契約のオーナー側のデメリットとしては、相場より賃料を下げざるを得ないケースが多いことが挙げられます。基本的に定期借家は借主にとって不利になるため、相場より最大で1割程度安くなければ、普通借家の競合には勝てないでしょう。


手続きが面倒になりがちなことも定期借家契約のデメリットです。契約時や期間満了前に、契約書や通知書などさまざまな書類の作成が必要となります。手続きに手間がかかることから、定期借家契約を取り扱ってくれない業者も少なくありません。

2.4 定期借家契約はこんな人におすすめ!

自宅の建て替え期間中に短期間だけ住める物件を探している人には、定期借家がおすすめです。オーナーが別荘やセカンドハウスを貸し出しているなら、普通借家では見つからないような地方の優良物件に住める可能性もあります。


転勤先で一時的に住む家を見つけたい人にとっても、定期借家契約が向いているでしょう。相場より安い賃料で借りられることが多いため、普通借家に住むより生活費を抑えられます。転勤期間が決まっているサラリーマンにおすすめです。


シェアハウスに住んでみたいと考えている人にも、定期借家が適しています。近年は多くのシェアハウスで定期借家契約が採用されており、期間限定でシェアハウスの魅力を確認できるでしょう。

3. 定期借家契約で気をつけるポイントとは?途中解約できる?

普通借家契約の感覚で定期借家物件を借りようとすると、契約上で多くの見落としが発生しかねません。定期借家物件の契約時に注意すべきポイントや、定期借家契約における途中解約について詳しく解説します。

3.1 契約時に見るべきポイント

定期借家契約では、書面による賃貸借契約を必要とすることが法律で定められています。契約時には、契約書が書面で作成されているかをチェックした上で、契約期間が明記されているかきちんと確認することが重要です。


「更新がなく期間満了により契約が終了する」旨を、契約書とは別に書面で説明されたかどうかの確認も大切です。オーナーや不動産会社からこの説明がない場合は、定期借家契約とはみなされません。


賃借料の増減についての特約が定められているかもチェックしましょう。特約にかかわらず当事者が賃借料の増減を請求できる普通借家契約と異なり、定期借家契約では賃借料の増減は特約の定めに従うこととなっています。

3.2 途中解約は可能?転勤?結婚?

一般的に、普通借家契約の場合は、途中解約しても違約金は発生しません。1カ月前までや2カ月前までなど、契約書で定められた解約申し出の期限を守りさえすれば、いつでも途中解約することが可能です。


一方、期間限定で貸し出されている定期借家の場合は、特段の理由がなければ無条件の途中解約はできません。途中解約時のペナルティーが契約書に記載されているなら、残り期間分の家賃を支払わなければならないでしょう。


ただし、床面積が200㎡未満の住宅なら、転勤・療養・介護・結婚などの理由で途中解約を申し入れることが可能です。この場合も、解約予告期限が設定されているケースでは、申し入れの時期によっては違約金を求められることがあります。


解約月の家賃の支払いについても、契約書できちんとチェックしておきましょう。残り期間分の家賃を支払わずに済む場合も、解約月の家賃を日割りにしてもらえなければ、余計な費用を支払うことにもなりかねません。
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4. 再契約はできる?更新との違い

定期借家契約における再契約について理解を深めておきましょう。普通借家とは勝手が違うため、引き続き住みたくても再契約できない場合があります。定期借家契約のトラブルを防ぐためのポイントも押さえておきましょう。

4.1 再契約は相談で可能になる

普通借家の契約終了後も引き続き住みたいケースでは、契約を更新することで住み続けられます。普通借家契約では、特別な事情がない限り、オーナーは契約更新を拒めません。一方、定期借家に住み続けたい場合は、契約更新ではなく再契約を結ぶ必要があります。


定期借家で期間満了後に再契約を希望する場合は、オーナーと相談してみましょう。定期借家の再契約は双方の合意が必要となるため、オーナーから認めてもらえば再契約できます。


オーナーが再契約に合意しない場合は退去しなければなりません。分譲マンションはオーナーの自宅を一時的に貸し出していることが多いため、再契約は難しいでしょう。


定期借家契約で住宅を借りている場合、通常はオーナーまたは不動産会社から、契約が終了する半年前までには通知が届きます。契約満了通知の書面に再契約の可否が記載されているため、契約書と併せて確認しておきましょう。


再契約の相談はできるだけ早めに行う必要があります。再契約できなかった場合、次の住居がなければ新居を探さなければならないためです。


契約終了の半年前を過ぎても通知が届かない場合は、オーナーや不動産会社が通知を忘れていたり、再契約不可のため契約終了の1~2カ月前に通知を出す予定であったりすることがあります。オーナーや不動産会社に確認の連絡を入れてみましょう。

4.2 定期借家の再契約は費用はかかるの?

普通借家の契約更新時には、契約内容を引き継いだ上で、更新料を支払ったり簡単な更新手続きを行ったりするのが一般的です。更新手続きを特に必要としないケースや、更新料が発生しないケースもあります。


一方、定期借家の再契約時は新たに契約を結び直すことになるため、原則として入居時に発生した初期費用を再度求められます。定期借家の再契約時に必要となる主な費用は、事務手数料・仲介手数料・保証料です。


ただし、入居時に礼金を支払っている場合、再契約時に礼金を求められることはほとんどありません。敷金も再度支払わずに初回分を引き継ぐのが一般的です。不動産会社への仲介手数料が割引・免除される可能性もあります。


定期借家の再契約を結ぶときは、家賃の値上げが行われないかも確認しましょう。最初の契約時と同様に、契約書類一式を再度記入しなければならない点にも注意が必要です。書類の提出が遅れた場合、再契約を断られることもあるため、住民票や印鑑証明書が必要なら早めに準備しましょう。

4.3 定期借家契約のトラブルを防止するために

定期借家契約は、さまざまな部分で普通借家契約と異なっています。いままで住んでいた普通借家と同じように考えていると、契約後にトラブルが発生しかねません。


定期借家契約で最も注意しておきたいのが、途中解約に関するルールです。定期借家契約では原則として途中解約できないため、特別な事情がなく途中解約すると違約金が発生しかねません。途中解約に関する契約内容にはきちんと目を通しておきましょう。


期間満了の時期を忘れないようにしておくことも大切です。入居者からの申し入れがなければ自動更新されることが多い普通借家契約とは異なり、定期借家契約では契約終了後の再契約ができないこともあります。


普通借家に住んでいる感覚で住み続けていると、期間満了時に退去を求められた後、住む場所がないという事態にも陥りかねません。新居探しや引っ越しの準備を見越して、終了期間を意識しながら過ごすことが重要です。

5. 高級マンションでは定期借家は多い?

低金利時代に突入して久しいこともあり、近年は都市部で投資家による賃貸用の高級マンションが急増しています。中でも、契約期間が決まっているため収益の見通しを立てやすい定期借家が増えているのが特徴です。


東京23区の大型ファミリー向け物件に関しては、高級住宅地の青山・赤坂・麻布がある港区や東京湾岸において、募集物件に占める定期借家の割合が23区内で最多となっています。家賃も同区内の普通借家を大幅に上回っています。


人気地区の定期借家の高級物件が増え、家賃相場をけん引している点がポイントです。東京23区におけるマンションの定期借家と普通借家の平均募集家賃を、以下の表で確認しておきましょう。


<マンション 定期借家と普通借家の平均募集家賃と前年度比(東京23区)> 「定期借家物件」の募集家賃動向(2020年度) 出典:「定期借家物件」の募集家賃動向(2020年度)※アットホーム調べ

6. まとめ

定期借家とは、契約期間が満了すると契約が終了する賃貸住宅のことです。契約方法・契約期間・途中解約・更新など、さまざまな部分で普通借家と異なっています。


賃貸物件を期間限定で借りられることや、相場より低い賃料で住めることなどが、定期借家契約のメリットです。普段住めないような魅力ある物件が見つかる可能性もあります。


途中解約でペナルティが発生する点や、再契約時に初期費用がかかる点には注意が必要です。定期借家のメリット・デメリットや気を付けるべきポイントを理解し、目的に合った物件を探してみましょう。

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