賃貸の火災保険とは?保険料の相場は?入らなければいけない理由を解説

公開日:2022年01月20日   最終編集日:2023年01月31日

賃貸の火災保険とは?保険料の相場は?入らなければいけない理由を解説
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目次

賃貸物件において借主が加入する火災保険契約は、家財保険・借家人賠償責任保険(特約)・個人賠償責任保険(特約)という目的の異なる3つの種類の保険からなります。


これらの詳細については後述しますが、最も大切なことは、加入する火災保険に関して適切な知識を持つことです。


この記事では、これから賃貸物件への入居を予定されている方向けに、賃貸物件における火災保険の仕組みや内容を分かりやすく解説しています。より安心して新生活を送りたい方は、ぜひ最後までお読みください。

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1. 賃貸の火災保険に入るべき?義務なの?

火災保険への加入義務

まずはじめに、火災保険への加入義務の有無やその必要性について解説します。賃貸物件ならではの特徴も分かり、火災保険への理解が深まりますので確認していきましょう。

1.1 賃貸において火災保険の加入は事実上必須

火災保険への加入は、借主の任意です。つまり、法律で義務付けられているものではありません。しかしながら、賃貸借契約を結ぶときに、貸主から火災保険の加入を条件として求められることが一般的です。

したがって、火災保険への加入は任意ではあるものの、事実上は必須となっていると言うことができます。


賃貸物件の借主に対して、火災保険への加入が実質的に必須となっている理由は、火災保険未加入では貸主と借主の双方が抱える住まいのリスクに備えることができないという点が挙げられます。

1.2 入らなければいけない理由① 退去時に原状回復義務がある

賃貸物件の借主には、原状回復の義務があります。原状回復義務というのは、借主の責任によって物件に生じた傷みや汚れに対しての修繕義務のことです。


これは、借主の軽過失によって生じた火災などによる損害に対しても同様に責任を負うことになっています。


通常、一般的な原状回復にかかる費用は退去時に敷金から精算されますが、火災などのケースでは損害額は大きくなります。金額の大小に関わらず、借主はその損害賠償責任を負いますので、火災保険に入っていなければその責任を果たすことが困難になるケースが出てきます。


借主が火災保険に加入しなければならない理由のひとつは、このような原状回復義務を履行するためです。(借家人賠償責任保険)

1.3 入らなければいけない理由② 火災に遭った場合は、家財の損害は自己負担になってしまう

賃貸物件の借主が火災保険に入らなければらならない大きな理由はもうひとつあります。それは、近隣の火災によって生じた所有家財の損害をカバーするためです。


同じ集合住宅に住む隣の部屋から発生した火災を例に挙げてみます。なお、火災の原因は、隣人の重大な過失によるものではありません。


この火災のもらい火によって、自分の所有する家財に大きな損害が発生しました。


この家財の損失は誰に責任があり、どのように対処できるかということがポイントになりますが、実はこのようなケースでは、「失火責任法」により、火元である隣人に対して損害賠償請求をすることができません。


火災保険における失火責任法を分かりやすく解説すると、「火事の原因が重大な過失によるものでない限り、火事を起こした者は損害賠償責任を負うことはない」という主旨の内容です。




※重大な過失の例:
・寝たばこ(火災の危険性を十分認識しながらも、対応策を講じないまま漫然と喫煙を続けて火災に至ったケース) ・てんぷら油(キッチンでてんぷら油の入った鍋を火にかけたままその場を離れ、てんぷら油が引火し火災に至ったケース)





火元である隣人に重大な過失がないと認められた今回のような事例では、失火責任法の適用により、隣人が損害賠償責任を負うことはありません。つまり、損害を受けた自分の家財については自己負担で対応しなくてはならなくなります。

賃貸物件の借主が火災保険に加入しなければならないもうひとつの大きな理由は、このような事態から所有家財の補償を得るためです。(家財保険)

2. 賃貸の火災保険の補償内容は?何が含まれている?

賃貸の火災保険の補償内容は?何が含まれている?

冒頭でお伝えしましたが、賃貸物件において一般に火災保険と言われる保険契約は、以下の3つの保険で構成されています。

  • 家財保険
  • 借家人賠償責任保険(特約)
  • 個人賠償責任保険(特約)

一部はすでにお伝えしましたが、それぞれに保険目的が異なりますので、もう少し詳細を確認していきましょう。

2.1 家財保険

家財保険は先ほどお伝えしたように、借主の所有する家財の損害を補償するものです。家財には、家具や家電をはじめとする部屋の中にあるさまざまな物が該当します。


家財保険は、火事だけではなく、落雷や水害、水漏れ、爆発、盗難などを原因とする損害に対しても適用されるのが一般的です。


賃貸物件の借主が加入する火災保険契約は、この家財保険がその主契約になります。

2.2 借家人賠償責任保険

火災保険の主契約は家財保険ですが、特約として借家人賠償責任保険を付加させることが通常です。


借家人賠償責任保険というのは、故意ではない火災、破裂・爆発などによって生じた部屋の損害賠償費用等を補償してくれます。


例えば、借主の軽過失により部屋から出火し、自分の部屋に損害を与えてしまったケースでは、この借家人賠償責任保険がその損害をカバーしてくれます。


すでにお伝えしたように、賃貸物件の借主には原状回復義務がありますが、今回のように損害額が高額になるケースでは、借主だけでその責任を果たすことは困難です。


そうなってしまうと、物件の所有者である貸主(オーナー)には、大きな損失だけが残ってしまい、賃貸物件の経営上大きな問題になります。


そんな事態を避けるために加入するのが、この火災保険の特約である借家人賠償責任保険です。借家人賠償責任保険は、物件の貸主のために貸主が加入する保険とも言えます。

2.3 個人賠償責任保険

火災保険の保険契約の特約には、個人賠償責任保険というものもあります。


この個人賠償責任保険は、日常生活で起きた偶然の事故などにより、他人の財産に対して損害賠償責任を負ったときに補償をしてくれる保険です。


したがって、保険が適用されるケースはさまざまな状況が考えられますが、賃貸物件においては、漏水による階下への水漏れなどがそれに該当します。


家財保険や借家人賠償責任保険では補償適用されない住まいのリスクに、より広範囲に対応するために特約として加入するのがこの個人賠償責任保険です。

2.4 地震保険は一般的には補償に入っていない

一般的な火災保険契約では、地震による火災や津波による損害は補償対象外です。したがって、地震による被害に備えたい方は地震保険への加入が別途必要になります。


地震保険はその特性上、政府と民間保険会社が共同で運営を行っており、保険料や補償内容は取り扱っている保険会社に関わらず同じです。


地震保険は、それ単体での加入はできず、火災保険とセットで加入する必要があるのも特徴となります。

3. 賃貸マンションにおける火災保険料の相場はどのくらい?

賃貸マンションにおける火災保険料の相場はどのくらい?

火災保険へ加入する上で気になるのは、その保険料です。この項目では、保険料の算出方法や賃貸マンションにおける保険料の相場などについて解説します。

3.1 火災保険料の決まり方

火災保険の保険料は、純保険料と付加保険料という2つの保険料の合計金額によって決まります。


純保険料というのは、損害保険料率算出機構が膨大なデータをもとに算出した数値をベースに決定し、付加保険料は各保険会社が独自に設定した料率をもとに決定します。


損害保険商品である火災保険は、契約時に支払われる金額が定まっておらず、それゆえ独特の計算方法で保険料が決められると理解しておくと良いでしょう。

3.2 火災保険料を決定する条件

火災保険料を算出するための詳細な計算方法を知る必要はあまりありませんが、保険料を決定するにあたって大きな要因となる以下のような条件については、知識として知っておくと役に立ちます。

  • 建物構造
  • 延べ床面積
  • 所在地
  • 補償対象範囲と特約
  • 建築年や耐震性能

3.2.1 建物構造

鉄筋コンクリート造(M構造)・鉄骨造(T構造)・木造(H構造)といった建物構造の種類は、火災保険料を決定するときに大きく影響します。専門的な解説は省略しますが、一般的に燃えやすい構造であるほうが、保険料は高くなります。

3.2.2 延べ床面積

建物の延べ床面積の広さと、災害時の被害の大きさは一般的に比例します。したがって、延べ床面積が広くなるにつれ、火災保険料は高くなる傾向があります。

3.2.3 所在地

賃貸物件となる建物の所在地も保険料に関係します。火災の延焼被害リスクの増す住宅密集地や、水害リスクの高い河川の近くといった立地条件はもちろん、台風被害を受けやすい地域かどうかといった地域性も保険料算出に考慮されます。

3.2.4 補償対象範囲と特約

火災保険の補償対象が広範囲になれば、それに応じて保険料も高くなります。一般的な火災保険の補償範囲は、火災・風災・雪災・ひょう災・落雷・破裂・爆発です。これに洪水や土砂崩れなどの水災を補償範囲に加えると、それが保険料に反映され料金は高くなります。 また、弁護士費用特約などの特約の有無やその数によっても保険料は変わります。

3.2.5 建築年や耐震性能

火災保険と合わせて地震保険を契約するときは、建物の築年数や免震・耐震性能によっても算出される保険料が異なります。地震保険では、耐震等級の高さに応じて保険料の割引を受けることもできます。

3.3 賃貸マンションの火災保険料相場

さまざまな要因によって賃貸物件の火災保険料は決まりますが、ここでは賃貸マンションにおける火災保険料の相場をお伝えします。個別の事情や条件によって保険料は変わりますが、相場を知るひとつの目安になると思いますので、ぜひ参考にしてください。
火災保険比較表相場まとめ ※2022年1月20日 シンシアレジデンス調べ

4. 火災保険の加入手続きの方法は?

火災保険の加入手続きの方法は? この項目では、火災保険の加入手続きの方法に関する2つのよくある質問に回答していきます。火災保険の加入手続きがスムーズになるだけでなく、火災保険選びにも役立ちますので、ぜひご確認ください。

4.1 不動産会社から指定したところに加入するのか?

物件を紹介してくれた不動産会社が、特定の火災保険への加入を勧めてくれることも少なくありません。


補償内容や保険料に問題がなければ、その火災保険に加入しても構いませんが、特別な例外を除き、必ずしも不動産会社がおすすめする火災保険に加入しなければならないということではありませんので注意しましょう。


借りる賃貸物件に対して補償内容が見合っていれば、どの保険会社の火災保険でも問題ありません。


万が一に備えて充実した補償内容にしたいという人や、必要最低限の補償内容で保険料を節約したいという人は、それらの条件を満たす火災保険を自分で選ぶこともできます。


大切なことは、どんな補償内容の火災保険なのかを把握し、さらにそれが自分の住む賃貸物件に対して適切かどうかを判断して、万が一の事態に備えることです。

4.2 火災保険はいつまでに申し込めばいいか?

火災保険の加入手続きで気を付けるべきポイントは、申し込みのタイミングです。


賃貸借契約書に記載されている入居開始日(契約開始日)には、火災保険の補償が開始されている必要がありますので、それに注意しながら予定を立てましょう。


通常は、火災保険の補償開始日と賃貸物件の入居開始日が同日であることが最も望ましいと言われています。


それらを踏まえて事前に火災保険に申し込む必要がありますが、保険契約成立までの手続き期間を考慮し、遅くても入居開始日の2週間前には申し込み手続きを行うようにしましょう。

5. 火災保険と家財保険は何が違うの?

家財保険に関しては、既にお伝えしたとおり、借主の所有する家財に対してのみ、損害を補償するものです。賃貸物件の借主の立場においては、加入する火災保険契約はこの家財保険のことを指します。つまり、「火災保険=家財保険」と言えます。


この家財保険を主契約として、借家人賠償責任保険や個人賠償責任保険を特約として付け、必要な火災保険契約が結ばれます。


一方、賃貸物件の建物に対する火災保険は、物件所有者であるオーナーが加入しますので、同じ火災保険という呼び方になりますが、保険契約の内容は借主とオーナーとで異なります。

6. まとめ

今回は賃貸物件の借主が加入を求められる火災保険について解説しました。適切な火災保険に加入することで、万が一のときに自分の所有する家財への補償はもちろん、隣人やオーナーに対しての損害賠償請求にもしっかりと応えることが可能になります。


火災保険に限らず、保険商品はその内容が複雑で分かりにくい傾向があります。加入するときはしっかりと内容を確認し、不明な点があるときは保険会社に確認を行うなどして、適切な火災保険を選ぶようにしましょう。


新しい物件へ入居し、そこでの新生活をより安心して送るためには、適切な火災保険への加入は欠かせません。

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