アルコーブと玄関ポーチのあるマンションに住むメリットとは?意外と知らない使用時に気を付けること
公開日:2022年07月05日 最終編集日:2022年07月05日
目次
建築用語の一つに「アルコーブ」と言う言葉があります。
あまり聞きなれない言葉ですが、「玄関ポーチ」に似た空間と言えばピンと来る人も少なくないでしょう。
今回はマンションに関する「アルコーブ」と「玄関ポーチ」について詳しく解説します。
両者の違いやメリットについて、使用する時に知っておくべき注意すべき点やマンションならではの「専用使用権」についてもあわせて解説しますので、ぜひ最後までお読みください。
1. アルコーブと玄関ポーチの違い
最初にアルコーブと玄関ポーチの違いを解説します。
冒頭でお伝えしたように両者は似ていますが明確な違いがあり、どちらに該当するかによって使用するときの注意点なども異なります。
まずは二つの「違い」をしっかり確認し把握していきましょう。
1.1 アルコーブとは
アルコーブとはマンションの各住戸の玄関前にある約1㎡~2㎡程度のスペースのことです。
特徴は「くぼんだ空間」のようになっている点で、玄関ドアの前に立つと左右に壁があり、三方が囲まれている状態になります。
アルコーブのないマンションの場合は共用廊下の壁に沿って凹凸なくフラットに各住戸の玄関ドアがそのまま設置されていますが、アルコーブがある場合はそれぞれの玄関は共用廊下の壁を少しくり抜いたような場所に設置されます。
1.2 玄関ポーチとは
玄関ポーチもアルコーブと同じく玄関前の凹んだ空間のことを指しますが、大きな違いは門扉があることです。
従って、玄関ポーチは「玄関から門扉までの空間」と言い換えることもできます。
同じマンションの同じ階でも一番奥の住戸にだけ玄関ポーチがあり、その他の住戸はアルコーブになっているなど、二つが混在していることもあります。
どちらも広さはマンションによって異なりますが、玄関前に門扉があれば「玄関ポーチ」、門扉はないが凹んだ空間になっていれば「アルコーブ」だと判断すると分かりやすいでしょう。
1.3 玄関ポーチには専用使用権がある
アルコーブと玄関ポーチの主な違いは「門扉の有無」ですが、見た目以外にも異なる点があります。
それは専用使用権の有無です。専用使用権は、「マンションの中で共用部分として区画分類され一定の制限は受けるものの、入居者に専有部分に準じた扱い(独占的な使用)を認める権利」のことを指します。
アルコーブも玄関ポーチも専有部分ではなく共用部分になりますが、玄関ポーチにはこの専用使用権が設けられているのが一般的です。
従って「門扉の有無」の他に「使用するときの自由度の高さ」も両者の違いと言えます。
2. アルコーブと玄関ポーチのメリットとデメリット
この項目ではアルコーブと玄関ポーチそれぞれのメリットとデメリットを解説します。
賃貸で借りたり、分譲でマンションを購入するときの参考にもなりますので、ぜひ確認してみてください。
2.1 アルコーブのメリット
アルコーブのメリットの一つには、玄関を他人の視線からある程度隠せるという点が挙げられます。
通常の玄関は共用廊下から他人の視線を遮ることは難しいですが、玄関が凹んだアルコーブの先にあると玄関付近の様子が見られることはなく防犯上も安心です。
また通常の玄関の場合は、共用廊下に人がいないかどうか確認してから玄関ドアを開けなければぶつけてケガをさせてしまう恐れがありますが、アルコーブ付きの場合は玄関ドアがスイングするスペースに人が歩いていることはありませんので、通行人を気にする必要もなくなります。
2.2 アルコーブのデメリット
一方アルコーブのデメリットは前述したように基本的には専用使用権が設けられていないことが挙げられます。
従って、共用廊下やエントランスなどと同じように完全に共用部分として見なされますので、自由にモノを置いたりすることは原則できません。
ただし、ある程度の広さがあり、常識の範囲内かつ他の住人の迷惑にならない、また外観を損ねないなどの配慮がされている場合は、ちょっとしたモノを置く程度は問題視されないのが実情です。
しかしながら「モノを置くスペース」目的と期待してアルコーブ付きのマンションを選ぶのはトラブルの原因になりかねません。
多少の融通は効くことはあるものの、やはり原則は共用部分として適切な使用を遵守する必要があります。
2.3 玄関ポーチのメリット
玄関ポーチの大きなメリットには、その空間をある程度自由に使用できることが挙げられます。
どの程度自由に使えるかはマンションの管理規約、玄関ポーチの専用使用権に関する内容によって異なりますが、それらルールの範囲内であれば自分好みの空間づくりをすることが可能です。
その他のメリットには、玄関ドアの前に門扉があることにより、空き巣などの犯罪を抑止する効果が期待できる点が挙げられるでしょう。
玄関ポーチはその部屋の住人や来客者、もしくは清掃員などの関係者以外が無断で入ることはありませんので、防犯性を高めながら玄関前の空間を有効活用できることが一番のメリットと言えます。
2.4 玄関ポーチのデメリット
一方、玄関ポーチのデメリットには、自由度の高さ故に使用や管理に対して責任を負わなければならないことです。
具体的には過失によって門扉や床部分などを破損させてしまったときは、自己負担での修繕を求められることが挙げられます。
例えば鉢植えの観葉植物を長年置いており、それによって床に頑固な汚れや跡がついてしまった場合、また子どもが門扉に登って遊んで壊してしまった場合などです。
上記のようなケースでもさまざまな事情、またマンションの規約などと照らし合わせて責任の有無が判断されますので、必ずしも入居者の責任になるとは限りませんが、責任を負う可能性があるので注意が必要です。
3. アルコーブ、玄関ポーチに自転車や私物を置いていいの?
玄関前に利用できそうなスペースがあれば、そこに自転車や私物を置いて有効活用したいと考えるのは自然です。
しかし、いくら自宅玄関前と言っても専有部分以外の場所で好き勝手にモノを置いたりして使用していいというわけではありません。
この項目ではアルコーブや玄関ポーチの適切な使用方法について、より詳しく解説していきますので、予期せぬトラブルを防ぐためにもぜひチェックしてみてください。
3.1. アルコーブはマンションの共用部分である
既にお伝えしましたが、一般的にアルコーブは入居者が専用使用権を持たないマンションの共用部分です。
従ってその部分を独占的に使用することは原則許可されません。
例えばアルコーブを自分の自転車の保管スペースとして使っているとしましょう。
これはマンションの規約上では「エレベーター内を勝手に自分専用の自転車置き場として使っている」のと同じように見なされます。
そのような人はまずいないと思われますが、これは自転車を置く場所が異なるだけで「共用部分を独占使用している」ということには変わりありません。
この例は極論ですが、アルコーブは原則的に勝手な使用はできないと認識しておきましょう。
どの程度厳しくチェックされるかはマンションによっても異なりますが、1本傘を1本立て掛けておく程度の使用方法であれば問題視されないことは多いのが実情です。
3.2. 玄関ポーチはマンションの管理規約の範囲内で使用できる
玄関ポーチの場合は、マンションの管理規約の範囲内で自由に使用することが可能です。
これは先ほど説明した専用使用権を入居者が持っているからですが、管理規約を逸脱した不適切な使用を行っている場合は、警告されたり最悪の場合は罰則の対象にもなりかねませんので注意しましょう。
3.3. マンションの管理規約を確認する
アルコーブや玄関ポーチ空間の使用がどのように制限されているのかは、マンションの管理規約を読むことで確認できます。
アルコーブや玄関ポーチにこだわりの使用目的を持って引っ越しまでしたのに、それが禁止されていると非常に残念で後悔することにもなりかねません。
そのような事態を防ぐためにも事前に管理規約をしっかり確認するようにしましょう。
特にこだわりのない方も、知らず知らずの内に規約違反してしまう可能性もありますので、一度は管理規約に目を通すことを強くおすすめします。
4. アルコーブと玄関ポーチの使用時の注意点
では最後にアルコーブと玄関ポーチの使用時における以下の3つの注意点についてお伝えします。
- 清掃について
- 破損したときについて
- 住民トラブルについて
4.1 清掃は管理会社が行う
アルコーブと玄関ポーチは共用部分に区別されるため、清掃は基本的に管理会社が行います。
ただし玄関ポーチに関しては専用使用権があり入居者の私物が置かれていることも多いため、それらを移動させてまで掃除してくれることはほとんどありません。そのため、清潔さを保つためには入居者自身が必要に応じて掃除を行うことも求められますが、その清掃方法には注意が必要です。
単にホウキで掃いたり雑巾で乾拭きする程度なら問題が起こることは考えづらいですが、水や掃除用洗剤などを使っての掃除は、錆や階下への水漏れ、また建材の変色などの原因にもなる可能性がありますので控えましょう。
自分でできない清掃に関しては、私物を移動させてから清掃員にお願いするなどして対応するのがおすすめです。
4.2 破損した場合、費用を負担する可能性もある
「2.4 玄関ポーチのデメリット」の項目でもお伝えしましたが、入居者の過失によってアルコーブや玄関ポーチを破損させてしまった場合、その修繕費用を自己負担するように求められる可能性があります。
先ほどの清掃にも関係しますが、例を挙げると「床用洗剤でアルコーブの床を掃除し、変色させてしまった場合」などです。
具体例を挙げるとキリがありませんが、共用部分であっても破損の経緯や原因によっては修繕費用を入居者が支払わなくてはならないケースもありますので、十分注意して使用するようにしましょう。
4.3 他の住民とトラブルにならないよう配慮する
防犯上のメリットをはじめ、玄関まわりの外観もワンランク上の上質さを演出してくれるアルコーブや玄関ポーチですが、その使用方法が原因で他の住民とトラブルにならないように注意しましょう。
例えば専用使用権がある玄関ポーチであっても、子どもを日常的に遊ばせているとその騒音などで他の住民に迷惑をかけてしまうことも考えられます。
その他にも不快感を与えるような私物を置いたりすることもマナー違反です。
繰り返しますがアルコーブや玄関ポーチはあくまで共用部分ですので、管理規約を守ることはもちろん、常識やモラル、またマナーに十分配慮して使用することが求められます。
5. まとめ
今回はアルコーブと玄関ポーチについてお伝えしました。
魅力的なメリットがあるため、マンション探しの希望条件の一つにしている人も多いとは思いますが使い方には注意が必要です。
アルコーブや玄関ポーチ付きのマンションを賃貸したり購入する前には、自分の目的にあった使用ができるかはもちろん、集合住宅の一員として管理規約にしっかり目を通し、他の住人へ迷惑をかけることのないように十分気を付けましょう。
既にアルコーブや玄関ポーチ付きのマンションにお住まいの方も、これをきっかけに今一度管理規約を確認し、適切な使用ができているかチェックすることをおすすめします。
弊社(シンシア)では、都内を中心に高級賃貸マンションを数多く扱っています。高級物件は玄関まわりのグレードも高く、広々としたアルコーブや玄関ポーチのついたマンションも多いですので、興味のある方はぜひお気軽にお問い合わせください。
豊富な専門知識を持つスタッフが丁寧にお客様のご希望の物件をお探しいたします。