住宅ローン控除の還付金の仕組みを解説!2022年の住宅ローン控除改正でどう変わる!?

公開日:2022年12月13日   最終編集日:2023年04月10日

住宅ローン控除の還付金の仕組みを解説!2022年の住宅ローン控除改正でどう変わる!?
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目次

住宅ローン控除は、住宅ローンを使って住居を取得・リフォームした際に、一定の金額が所得税や住民税から控除される制度のことです。
この記事では、住宅ローン控除の概要や還付金の仕組みなどを解説しています。また、還付金の具体的なシミュレーションも取り上げているため、これから住居を購入しようとしている人はぜひ参考にしてください。

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1. 住宅ローン控除とは

住宅ローン控除とは

ここでは、住宅ローン控除とはなんなのか、その仕組みや控除が受けられる条件などを紹介します。これから住宅を購入しようとしている人にとって知っておくべきポイントであるため参考にしてください。

1.1 住宅ローン控除の仕組み

住宅ローン控除とは、住宅ローンを使って住居を取得したもしくはリフォームをした場合、年末時点におけるローン残高の0.7%相当の金額が所得税や住民税から控除される制度のことです。
新築住宅や買取再販住宅を購入した場合は最大で13年間、中古住宅の購入やリフォームの場合は10年間が適用期間となります。なお、住宅ローン控除の具体的な控除額に関しては以下のように細かく定められています。

住宅の種類 住宅の環境性能 一年あたりの最大控除額(2022〜2023年入居) 一年あたりの最大控除額(2024〜2025年入居)
新築・買取再販 長期優良住宅低炭素住宅 35万円 31.5万円
ZEH水準省エネ住宅 31.5万円 24.5万円
省エネ基準適合住宅 28万円 21万円
その他の一般住宅 21万円 0 円(2023年までに建築確認を受けた場合は14万円)
中古・リフォーム 長期優良住宅低炭素住宅ZEH水準省エネ住宅省エネ基準適合住宅 21万円 21万円
その他の一般住宅 14万円 14万円

新築住宅か中古住宅か、ZEHや長期優良住宅、低炭素住宅といった住宅の環境性能などによって金額は変わってくるためチェックしておきましょう。
なお、新築住宅、買取再販住宅に関しては、2024年〜2025年に入居すると控除額の上限が縮小されます。そのため、できるだけ2023年までに入居したほうがいいでしょう。

1.2 税額控除とは?

税額控除とは、所得税や住民税からお金を差し引くことです。例えば、所得税が5万円で税額控除が1万だった場合、実際に納税する金額は税額控除を除いた4万円となります。
ちなみに、会社勤めをしていて源泉徴収をしている場合、先に5万円が納税される形となっています。そのため、税額控除分である1万円は後になってから還付金という形で手元に戻ってきます。


税額控除が所得税額を上回っているケースも中にはあるでしょう。例えば、所得税が5万円で税額控除が6万だった場合、所得税5万円は全て控除となりますが、さらに1万円があまります。そうなった場合、引き続き住民税額から税額控除する仕組みとなっています。

1.3 住宅ローン控除が受けられる条件とは

住宅ローン控除は誰でも受けられるものではありません。以下のような条件を満たしている必要があります。

  • 住宅ローンの返済期間が10年以上である
  • 購入した住居に自ら住んでいる
  • 床面積が50㎡以上である
  • 居住用の割合が1/2以上である
  • 合計所得が2,000万円以下である

住宅ローンの返済期間が短い場合は控除を受けることはできません。具体的には借り入れた住宅ローンの返済期間が10年以上である必要があります。
また、10年以上のローンであったとしても、繰上げ返済などによって当初よりも早いタイミングで返済が完了することもあるでしょう。この場合、辺塞期間が10年未満になった時点で適用外となります。


次に、いくら10年以上の住宅ローンを組んで購入した住居だとしても、控除を受ける人本人がその家に住んでいなければ控除は適用されません。
例えば、投資目的でマンションを購入した、土地のみを購入して家を立てていないといったケースでは住宅ローン控除は適用されないため注意してください。なお、転勤に伴い一時的に本人が住んでいないといったケースは、家族がそこに住んでいれば控除対象となります。


床面積が50㎡以上でなければ控除が受けられない点にも注意してください。マンションの場合、専有部分の床面積から判断されることとなります。共用部分である階段や通路などは床面積に含まれないため、これからマンションを選ぼうとしている人は、その点も含めて選ぶといいでしょう。


住居を事業などに利用している場合、居住割合が1/2以上でなければなりません。例えば、自営業の人が自宅を事業所として利用している場合、事業所として利用している割合が建物の1/2以上になると住宅ローン控除の対象外となります。


そして、合計所得金額が2,000万円を超えている場合も、住宅ローン控除は受けられません。住宅ローン控除は所得が2,000万円以下の人のみが受けることのできるものです。
このように、住宅ローン控除を受けるにはさまざまな条件をクリアする必要があります。そのため、これから住居を探そうとしている人は、住宅ローン控除の条件と照らし合わせながら選ぶことをおすすめします。

2. 2022年税制改正で何がかわる?

2022年税制改正で何がかわる?

2022年の税制改正によって住宅ローン減税にも変化が起こりました。ここでは、2022年の税制改正のポイントと具体的なメリット・デメリットについて解説します。

2.1 2022年税制改正のポイント

2022年に行われた税制改正の主なポイントは以下の通りです。

  • 入居に係る適用期限が4年間(令和4年~令和7年)延長された
  • 控除率が0.7%、控除期間を新築住宅等の場合は原則13年、既存住宅の場合は10年になった
  • 既存住宅を含めて、住宅の環境性能等に応じた借入限度額の上乗せ措置を講じる
  • 令和6年以降に建築確認を受ける新築住宅に関しては、省エネ基準適合を要件化した
  • 「耐火住宅25年以内、非耐火住宅20年以内」という既存住宅の築年数要件に関して新耐震基準適合住宅(昭和57年以後に建築された住宅)に緩和した
  • 新築住宅の床面積要件に関して、令和5年以前に建築確認を受けた物件は40㎡以上に緩和(ただし合計所得金額が1,000万円以下の者に限る)
  • 控除の適用対象者となる人の所得要件を合計所得金額3,000万円以下から2,000万円以下に引下げた

上記の点が税制改正の主なポイントです。では、これらの改正によってどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。引き続き解説します。

2.2 2022年税制改正メリット

税制改正によって得られるメリットとしては以下のような点が挙げられます。

  • 控除期間が長くなった
  • 住宅の性能や時期によって借入限度額が変わる
  • 入居時期が延長された

住宅ローン控除の期間はもともと10年でしたが、税制改正に伴い新築住宅に関しては13年へと延長されます。そのため、より長い期間控除の恩恵を受けることができます。なお、中古住宅に関しては従来通り10年のままとなっているため注意してください。


次に、住宅の性能や入居する時期によって借入限度額がわかれるようになりました。今後は、借入限度額が4段階にわかれます。より高性能な住宅を購入すればより多くの控除を受けることが可能です。


そして、住宅ローン控除の対象となる入居時期が2025年まで延長されたこともメリットの1つです。これまでは、特例を適用したケースでも2022年12月末までに入居しなければ控除が適用されない仕組みでした。
しかし、税制改正によって入居期間が2025年12月末まで3年間延長されています。そのため、これから住居を購入しようとしている人にも住宅ローン控除を受けられるチャンスがあります。

2.3 2022年税制改正デメリット

メリットの一方でデメリットも少なからず存在します。主なデメリットとしては以下のような点が挙げられます。

  • 控除率が1%から0.7%に引き下げられた
  • 所得制限が引き下げられた
  • 控除額の上限が引き下げられた
  • その他の住宅は住宅ローン控除の対象外になった

もっとも大きいデメリットとも言えるのが、住宅ローンの控除率の引き下げです。従来は1%だったものが、0.7%にまで引き下げられました。金額にすると、これまでは特例を活用して控除の期間を13年とすることで最大で480万円の控除が受けられていましたが、改正後は最大でも273万円までです。200万円以上の差は、大きな差といえます。


なお、環境性能の優れた住宅を購入することで控除額は最大で455万円になりますが、それでも改正前と比べると少なくなっています。
2022年の改正によって所得制限が引き下げられました。これまでは、年間の所得合計が3,000万円以下であれば住宅ローン控除が受けられましたが、改正後は2,000万円が上限になりました。これに伴い一部の高額所得者は住宅ローン控除が受けられなくなります。


さらに、住民税からの控除額の上限も引き下げられています。先ほども説明しているように、住宅ローン控除の控除額を所得税から控除してもまだ余っている場合、住民税からの控除ができます。これまでは住民税の控除は最大で13万6,500円まで受けられましたが、改正後は最大で9万7,500円までとなります。


そのほかにも、高性能住宅以外の「その他の住宅(新築住宅)」に関しては、間も無く住宅ローン控除が受けられなくなります。これは、2024〜2025年の間に入居する場合で、2023年までに新築の建築確認を受けられていない場合です。
2024年以降に新築住宅を購入する人で、住宅ローン控除を抑えたい場合は、省エネ性能基準を満たした高性能な住宅を購入する必要があります。

3. 住宅ローン控除の還付金とは

住宅ローン控除の還付金とは

ここでは住宅ローン控除によって還付金が返ってくるケースについて解説します。どのくらいの金額が返ってくるのか、どのように計算すればいいのかといった点を取り上げているため、ぜひ参考にしてください。

3.1 住宅ローン控除の還付金はいくら返ってくるの?

住宅ローン控除の還付金額は2022年の税制改正以降、単純計算をすると年末時点におけるローン残高の0.7%となります。例えば、年末時点で2,000万円の残高がある場合、0.7%となる14万円が還付可能というイメージです。そして、この還付金は所得税の控除という形で還付されます。

3.2 住宅ローン控除の控除額の計算方法

住宅ローン控除の控除額は以下の計算式で求めることができます。


住宅ローン控除の控除額=住宅ローンの年末借入残高×0.7%


なお、納税金額に伴う上限があるほか、住宅の性能によっても控除額に上限があるため注意してください。

3.3 住宅ローン控除額のシミュレーション

ここでは住宅ローン控除額のシミュレーションを行います。今回は以下のような条件でシミュレーションを行いました。

  • 共働き夫婦
  • 住宅ローンは固定金利のフラット35Sを使用
  • 借入額2,000万円

上記の条件の場合、年収が300万円あれば13年間で合計152万円の控除を受けることができます。新築住宅で省エネ性能基準を満たした物件であれば455万円の控除が受けられますが、こちらの条件の場合借入額が少ないため、減税額はそれほど大きくなりません。
なお、借入額を4,000万円、年収を600万円とした場合、最大で303万円の控除が受けられます。

3.4 還付金はいつ戻ってくる?

還付金が戻ってくるタイミングは、確定申告を行うか、年末調整を行うかによって異なります。確定申告の場合、申告日から1ヶ月〜1ヶ月半程度で還付金が入金されます。
確定申告の時期は毎年2月16日〜3月15日となっているため、早ければ3月中旬以降に、遅くとも5月ごろには還付金が受けられる計算です。年末調整の場合は、12月もしくは1月の給与に還付金額分が反映されます。具体的なタイミングは会社によって異なるため注意してください。

4. 住宅ローン控除を受けるために必要な手続き

住宅ローン控除を受けるために必要な手続き

ここでは住宅ローン控除を受けるためにどういった手続きが必要なのか解説します。これから住宅を購入し、住宅ローン控除を受けようとしている人はぜひ参考にしてください。

4.1 住宅ローン控除の申請に必要な書類

住宅ローン控除の申請にあたっては、税務署に書類を提出する必要があります。必要な書類は以下の通りです。


・住民票の写し(市区町村の役所で入手可能)
・残高証明書(金融機関などで入手可能)
・登記事項証明書・請負(売買)契約書等(法務局で入手可能、本人が所有している場合はそれを使用)
・給与などの源泉徴収票等(職場からもらう)
・中古住宅の場合は、耐震基準適合証明書、既存住宅性能評価書、既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書が必要(それぞれ建築士など、登録住宅性能評価機関、住宅瑕疵担保責任保険法人から取得可能)


なお、給与所得であれば、2年目以降は勤務先にローン残高の証明書を提出すれば、年末調整で控除を受けることができます。

4.2 住宅ローン控除の申請方法

住宅ローン控除を申請する場合、初年度に関しては税務署に申告する必要があります。申告方法は以下の3つです。


・税務署の窓口での申請
・郵送
・e-Tax(インターネット申請)


窓口には、申請に必要な書類が用意されているほか、不明点などはその場で職員に相談できるため安心して申請できます。また、インターネット上で申請に必要な書類を用意して、それを印刷したうえで郵送して申請することも可能です
そのほかにも、マイナンバーカードやカードリーダーが必要となりますが、e-Taxを利用してインターネット上で全て申請することもできます。

4.3 2年目以降は年末調整か確定申告で

2年目以降の手続きに関しては、確定申告もしくは年末調整で対応可能です。自営業者など、確定申告を行う方は、その際に住宅ローン控除の申請も一緒に行いましょう。
また、給与所得者の場合は、先ほども説明しているように、ローン残高の証明書を提出することで、年末調整で控除を受けられます。もし、年末調整で対応できなかったとしても、確定申告での申請もできます。

5. 思ったより還付金がすくない!?その理由とは

思ったより還付金がすくない!?その理由とは

還付金を受け取ったものの、思ったよりも少ないと感じることがあります。ここではなぜ少ないのか、その理由について解説します。

5.1 住宅ローン控除の還付金には上限がある

住宅ローン控除は、控除額の上限が定められているため、思ったよりも少ないという事態が起こる可能性があります。控除額は年間40万円が上限となっていますが、省エネ性能の条件を満たしている物件であれば50万円まで引き上げられます。
いくら住宅ローンの借入額が多くても、上限が定められているため、上限以上の還付金を受け取ることはできません。

5.2 所得税以上の額は還付されない

住宅ローン控除とは、所得税を還付するためのものです。そのため、所得税額以上の還付金を受け取ることはできません。そのため、自分は上限いっぱいの還付金が受けられると思っていたものの、実際には所得税額分しか受け取れず「思ったより少ない」といった事態が起こります。

5.3 所得税よりも多い住宅ローン控除の還付金は翌年の住民税か控除される

還付金額が所得税額を超えている場合、所得税額分しか還付されず、余った分は翌年の住民税から控除されます。
例えば、所得税額が10万円、住宅ローン控除の還付金が15万円だった場合、所得税分の10万円しか控除できず、残った5万円は翌年の住民税から控除となります。そして、この住民税からの控除も上限額(9万7,500円)が定められているため注意してください。


なお、住民税からの控除に関しては、「所得税から住宅ローン控除を控除した上で残った金額」もしくは「所得税の課税総所得金額に7%を乗じた金額」のうち、小さい金額の方が控除額となります。

6. まとめ

今回は、住宅ローン控除の概要や2022年の税制改正による変化、メリット、デメリット、具体的な還付金額などについて解説しました。
住宅ローン控除は、住宅ローンを使って住居を取得したもしくはリフォームをした場合、年末時点におけるローン残高の0.7%相当の金額が所得税や住民税から控除される制度のことです。所得税や住民税が控除される点は大きな魅力ですが、適用条件を満たしている必要があるため注意しなければなりません。今回の内容を参考に、適用条件を把握し、具体的なシミュレーションを立ててみてはいかがでしょうか。

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