共有持分の割合の決め方と計算方法を購入時と相続時に分けて詳しく解説!

公開日:2023年12月28日   最終編集日:2023年12月28日

共有持分の割合の決め方と計算方法を購入時と相続時に分けて詳しく解説!
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目次

不動産を複数人で共有名義として購入する人もいるでしょう。近年は、共働き夫婦も増えており、住宅を共有名義で所有しようとしている人もいるかもしれません。後々、金銭面で損をしないためにも、よく考えて決断するようにしてください。
今回は、共有持分の割合の決め方と計算方法を解説します。注意点もご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

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1. 共有持分の割合の決め方

共有持分の割合の決め方

共有持分とは、複数人で一つの不動産を共同で所有する場合にそれぞれの人が持つ所有権の割合です。共有名義で不動産を所有するときは、持分の割合を決めなければなりません。共有持分の割合は、分数で表されます。ケースごとに割合の決め方は異なり、計算方法を詳しく見ていきましょう。

1.1 基本は購入時の負担割合によって決める

共有持分の割合の決め方は、基本は購入時の負担割合によって決まります。計算方法は、「自己負担の費用÷不動産の費用」です。
例えば、3,000万円の不動産をAとBが共同で購入したとします。Aの自己負担の費用が2,000万円でBが1,000万円の場合をご紹介します。


Aの共有持分は、2,000万円÷3,000万円=3分の2
Bの共有持分は、1,000万円÷3,000万円=3分の1


つまり、Aの共有持分は2/3であり、Bは1/3となります。

1.2 共有持分の割合が割り切れない場合の決め方

共有持分の割合を計算したときに、必ずしも割り切れる数字になるとは限りません。端数を調整して綺麗な数字にします。
例えば、5,500万円の不動産をAとBが共同で購入したケースを見ていきましょう。Aの自己負担の費用が3,200万円でBが2,300万円の場合をお伝えします。


Aの共有持分は、3,200万円÷5,500万円=0.5818・・・
Bの共有持分は、2,300万円÷5,500万円=0.4818・・・


端数を調整して綺麗な数字にすると、Aの共有持分は、0.6(60/100)となり、Bの共有持分は、0.4(40/100)です。
Aは本来「0.5818・・・」にも関わらず、「0.6」と共有持分が増え、Bは「0.4818・・・」から「0.4」に減りました。本来はBが所有するはずだった持分をAに渡したことになり、税務上ではBからAに贈与があったとみなされます。


「贈与」と聞くと、贈与税を思い浮かべる人もいるかもしれません。贈与税は、贈与の金額が年間で110万円以上を超えると発生し、今回は、5,500万円×(60%-58.2%)=99万円となり、贈与税は課税されません。贈与税が発生しないようにするのがおすすめです。

1.3 親から資金援助があった場合の決め方

マイホームを購入するにあたって、親から資金を援助してもらえるケースもあるでしょう。親から資金を援助してもらった場合は、「贈与」や「借用書の作成」、「共同で出資」の3パターンが考えられます。


「贈与」として資金援助してもらったケースを詳しく見ていきましょう。親から「贈与」で資金援助してもらうと、自己負担額として計上され、親は共有持分は所有しません。
3,000万円の住宅を購入するときに、Aが1,500万円負担し、Bが1,000万円負担、Aの親が500万円負担したとします。Aの親の500万円分は、Aが自己負担したことになり、Aが2/3、Bは1/3の持分です。


先述の通り、贈与の金額が110万円を超える場合は贈与税がかかります。Aの親から500万円の資金を援助してもらう場合は、390万円が贈与税の対象となります。贈与税には特例があり、確認するのがおすすめです。
資金が足りず、親から資金を借金として借りるケースもあるでしょう。贈与とみなされないためにも「借用書の作成」が重要です。借用書に何を記載したらよいかわからない方もいるでしょう。


借用書には、作成日やお金を貸した日、返済期日、利息、返済方法、個人情報などを記載してください。
利息は、相場通りにしておかないと利息分が贈与とみなされるケースもあるので、注意しましょう。
親の預金で「共同で出資」する場合は、親も共有持分を取得することになります。共同出資だと、利息や贈与など計算しなくても済みます。

2. 住宅ローンの組み方別の持分割合の決め方

住宅ローンの組み方別の持分割合の決め方

住宅を購入するときは、一括購入ではなく、住宅ローンを組む人が多いです。夫婦が住宅ローンを組むときは、「連帯債務型の住宅ローン」や「ペアローン」が考えられます。

2.1 連帯債務型の住宅ローンの場合

家のローンに対して全員が債務者として契約する住宅ローンが連帯債務型の住宅ローンであり、債務者全員の所得を合計した金額で融資を受けられる特徴があります。
AとBが連帯債務型の住宅ローンを組んだ場合、AもBも持分が発生します。持分割合を決めるときは、収入と同じ割合です。Aの年収が500万円でBの年収が300万円だとすると、Aの持分割合は5/8でBの持分割合は3/8となります。

2.2 ペアローンの住宅ローンの場合

ペアローンの住宅ローンとは、夫婦がそれぞれ別の住宅ローンを組み、家を購入する住宅ローンです。お互いが連帯保証人になり、住宅ローン控除も適用可能で、団体信用生命保険も夫婦それぞれ加入できる特徴があります。
万が一、夫婦のどちらかが団体信用生命保険を適用しなければならない事態に陥ったとしても、片方の住宅ローンは支払い続けなければなりません。


ペアローンは、頭金を含めた支払い金額で持分割合が決定されます。例えば、4,500万円の住宅を購入するにあたって、ペアローンでAが2,500万円でBが2,000万円の住宅ローンをそれぞれ組んだとします。Aは頭金500万円を貯めており、Aの持分割合は60%、Bの持分割合は40%です。

3. 共有持分を「相続する」際の持分割合の決め方

共有持分を「相続する」際の持分割合の決め方

親が家を所有しており、親が亡くなった場合、配偶者と子供が相続して家を共有するケースが考えられます。
共有持分を「相続」する際の持分割合の決め方を「法定相続分」や「遺産分割協議」、「遺言書」の観点からご紹介します。

3.1 法定相続分によって決める

法定相続分は、法律によって相続人やケースによって相続できる割合が決められています。例えば、夫が被相続人であり、相続人は妻と子供2人とします。相続財産は夫の共有持分1/2であり、妻が共有持分1/2を所有しているケースを見ていきましょう。


妻である配偶者とその子供は法定相続分1/2が認められ、子供の法定相続分は人数で分けるため、子供一人あたり1/4が法定相続分です。
妻が相続する共有持分は、夫の共有持分(1/2)×妻(1/2)で1/4です。そして、妻は、共有持分を1/2所有しており、1/2 + 1/4で3/4の共有持分を所有したことになります。
子供が相続する共有持分は、夫の共有持分(1/2)×子供の法定相続分(1/2)×子供の人数(1/2)で1/8です。

3.2 遺産分割協議によって決める

共有持分を「相続」する際の持分割合を遺産分割協議によって決めると、話し合いで決まります。相続人全員が遺産分割協議に賛成すると、たとえ、遺言書があったとしても、相続人それぞれが納得できる持分割合になり、トラブルにならずに済むでしょう。

3.3 遺言書がある場合

遺言書とは、末期を迎えた人の気持ちや意思を記したものです。残された家族がトラブルにならないように遺言書を残しているケースもあるでしょう。
遺言書に記されている通りに相続する必要があります。例えば、家の所有権全てを妻に任せると記載されている場合は、妻が単独で相続します。子供がいたとしても、妻が所有権を得るでしょう。
遺言書に不動産の持分割合について詳しく記載されていない場合は、法定相続分に従って進められます。

4. 共有持分を決める際の注意点

共有持分を決める際の注意点

共有持分を決める際の注意点を知っておかないと、贈与税がかかってしまったり、住宅ローン控除で損をしてしまったりする可能性があります。
不動産を購入して持分割合を決めるときは、出資額に基づいて設定するのがおすすめです。

4.1 贈与税がかかる

共有持分を決めるときは、出資額に基づいて設定しないと贈与税がかかる可能性があります。例えば、住宅費用が3,000万円で妻が500万円しか負担していないにも関わらず「夫婦のため1/2ずつの持分にする」と決めてしまうと贈与税がかかります。
本来、夫婦で半分の持分にするのであればお互いに1,500万円ずつ負担しなければなりません。1,000万円の差額は、夫が妻に贈与したと判断されるでしょう。

4.2 住宅ローン控除で損をする

出資額に基づいて共有持分を決めないと住宅ローン控除で損をしてしまいます。住宅ローン控除とは、ローン残高に応じた金額が一定期間所得税から差し引かれるものです。
4,000万円の物件を夫が3,000万円で妻が1,000万円のペアローンで契約した場合、住宅ローン控除が30万円受けられるところを持分が1/2ずつだと20万円しか受けられません。
住宅ローン控除の対象となるのは、自分の自宅を取得するための借入金額と覚えておきましょう。

5. まとめ

共有持分の割合を決めるときは、基本的に購入時の負担割合によって決まります。負担割合を無視して、自由に決めてしまうと、贈与税がかかったり、住宅ローン控除で損をしたりする可能性があり、注意しなければなりません。
夫婦で家を購入するときは、住宅ローンの種類や資産計画に加え、持分についても考慮するのをおすすめします。不動産は家族間でトラブルになるケースも多く、よく話し合って決めるようにしましょう。

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