建ぺい率・容積率とは?計算方法や制限・緩和条件など家づくりの前に知っておきたいこと

公開日:2023年09月15日   最終編集日:2023年09月14日

建ぺい率・容積率とは?計算方法や制限・緩和条件など家づくりの前に知っておきたいこと
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目次

家づくりをするときに「建ぺい率」や「容積率」という単語を見かける機会もあるでしょう。家を建てる場合、さまざまな制限を遵守しなければなりません。
そこでポイントとなるのが「建ぺい率」や「容積率」です。万が一、制限を守らなかった場合、建築基準法の違反となります。
今回は、「建ぺい率」や「容積率」の計算方法を解説します。緩和される条件もお伝えするので、ぜひ参考にしてみてください。

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1. 建ぺい率と容積率とは

 建ぺい率と容積率とは

「建ぺい率」や「容積率」とは、家を建築するときに決められている敷地面積に対する割合です。土地の面積いっぱいに家を建てたいとお考えの方もいるかもしれません。しかし、「建ぺい率」や「容積率」の数値を超えて家を建てられません。
「建ぺい率」や「容積率」は、行政が都市計画等に基づき、建築基準法にある数値の中から上限を決めています。これらの制限は、日当たりや風通しなど周囲の環境の調和を乱さないよう定められています。「建ぺい率」や「容積率」のそれぞれの違いや詳しい内容を見ていきましょう。

1.1 建ぺい率

建ぺい率は、家を建てる土地の面積に対して真上から見た建物の面積の割合であり、「建築面積(水平投影面積)」と呼ばれます。
もし、2階建ての住宅の1階と2階で面積が異なる場合、1階の方が面積が広ければ、1階の面積が建築面積になります。逆に、2階の方が面積が広ければ、2階の面積が建築面積です。広い面積の方が建築面積になるということを覚えておきましょう。

1.2 容積率

容積率は、家を建てる土地の面積に対する建物の延床面積の割合です。延べ床面積は、物件の各階の床面積の合計であり、ロフトやバルコニーは延床面積に含まれません。
その他にも、吹き抜けや玄関ポーチは延床面積に該当しません。建物の中でも延床面積に含まれない部分があり、容積率を算出するのが複雑な点もあるでしょう。

2. 建ぺい率と容積率の調べ方と計算方法

建ぺい率と容積率の調べ方と計算方法

家づくりをするにあたって「建ぺい率」や「容積率」は欠かせません。自分が希望する土地に建築したい大きさの家を建築できない可能性もあるので、土地の大きさは事前に確認しておくようにしてください。
敷地面積が100㎡で建ぺい率40%、容積率80%を満たす物件の例をご紹介します。

・2階建ての物件の1階、2階部分がそれぞれ40㎡の物件
・3階建ての物件で1階は40㎡、2階は30㎡、3階は10㎡の物件

上記で紹介した2つの物件は、どちらも建ぺい率40%、容積率80%を満たしています。もし、3階建ての物件が1階は40㎡、2階は30㎡、3階が30㎡の物件だと、容積率80%を超えてしまい、建築できません。建ぺい率や容積率の調べ方、計算方法を学んでいきましょう。

2.1 建ぺい率の調べ方・計算方法

建ぺい率の調べ方は、不動産業者がチラシやインターネットで公開しているのを活用する方法があります。その他にも、市役所の都市計画課に問い合わせてみるのもよいでしょう。「都市計画図」と呼ばれる建ぺい率が記載されたものもインターネットで公開されています。


先述の通り、建ぺい率は、地域ごとに定められています。そのため、希望する土地が建ぺい率の上限が違う土地にまたがっているケースもあるでしょう。それぞれの面積の割合に応じて、建ぺい率が按分されますが、建ぺい率を正確に把握するには、市役所に確認するのがおすすめです。地図をマーキングして、市役所の都市計画課に相談すると安心です。

【建ぺい率の計算方法】


建築面積÷敷地面積×100=建ぺい率


建ぺい率が60%の場合、建築面積が50㎡で敷地面積が100㎡だと建ぺい率は50%なので、問題ありません。しかし、建築面積が70㎡で敷地面積が100㎡だと建ぺい率が70%となり、制限の60%を超過しており、家を建築できません。
先述の通り、2階建ての物件で1階と2階の建築面積が異なる場合は、大きい面積を建築面積として計算しましょう。

2.2 容積率の調べ方・計算方法

建ぺい率の制限以内にするために、建築面積を小さくして建物の高さを高くしようとお考えの方もいるかもしれません。建ぺい率だけでなく、容積率も制限内に抑える必要があります。
周辺の住環境が2階建ての物件ばかりが並んでいるところに、9階建ての物件があると、日当たりが悪くなる可能性があり、周りの人に迷惑がかかってしまうでしょう。道路などの公共施設とバランスを保つために、容積率が決められています。
市役所のホームページなどで容積率を調べられます。

延床面積÷敷地面積×100=容積率

容積率の計算をするときに注意しなければならない点は、「前面道路制限」です。「前面道路制限」とは、敷地に面している道路幅が12m未満の場合、その幅員に定数をかけた数字の方が小さければ、その数字が容積率の上限になります。地域によって、幅員の定数は異なります。
土地に面した道路の幅が狭い場合は、容積率がさらに制限されると認識すると分かりやすいです。
具体的に前面道路制限があったケースの容積率の計算をしていきましょう。

  • 容積率の上限が200%の土地
  • 幅員の定数は40%
  • 土地が4.5mの道路に接している

計算式は、4.5m×40%×100=180%となります。容積率の上限が200%の土地であったとしても、その土地に家を建てる場合は容積率180%以下にする必要があります。

3. 建ぺい率と容積率は用途地域によって異なる

建ぺい率と容積率は用途地域によって異なる

「用途地域」とは、計画的に市街地を形成するのを目的として、用途に応じて13種類の地域に分けられたエリアです。
用途地域によって、建築できる建物の種類や大きさが制限されており、住み心地や暮らしに差があるので、土地を探すときは、参考にすると良いでしょう。

用途地域 都市計画法 建築できる建物 建ぺい率 容積率
第一種低層住居専用地域 低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域 高さが10mから12mの住宅、共同住宅、寄宿舎など 30%、40%、50%、60% 50%、60%、80%、100%、150%、200%
第二種低層住居専用地域 主として低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域 低層住宅に加え、床面積150㎡以下の喫茶店や理髪店など 30%、40%、50%、60% 50%、60%、80%、100%、150%、200%
第一種中高層住居専用地域 中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域 中高層の住宅に加え、床面積が500㎡以下の店舗など 30%、40%、50%、60% 100%、150%、200%、300%
第二種中高層住居専用地域 主として中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域 中高層の住宅に加え、床面積が1500㎡以下の店舗など 30%、40%、50%、60% 100%、150%、200%、300%
第一種住居地域 住居の環境を保護するため定める地域 密集した住宅の建築が可能であり、床面積が3000㎡以下の店舗など 60% 200%、300%、400%
第二種住居地域 主として住居の環境を保護するため定める地域 密集した住宅の建築が可能。人が集まる施設の建築は不可。 60% 200%、300%、400%
田園住居地域 農業の利便の増進を図りつつ、これと調和した低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域 農業を営む人が住みやすいエリアとなっており、高さが10mから12mの住宅の建築が可能。 30%、40%、50%、60% 50%、60%、80%、100%、150%、200%
準居住地域 道路の沿道としての地域の特性にふさわしい業務の利便の増進を図りつつ、調和した住居の環境を保護するための地域 密集した住宅の建築が可能。国道や幹線道路の沿道になるので、車移動の多い人や騒音が気にならない人におすすめ。 60% 200%、300%、400%
近隣商業地域 近隣の住宅地の住民に対する日用品の供給を行うことを主たる内容とする商業その他の利便を増進するための地域 商業施設など 80% 200%、300%、400%
商業地域 主として商業その他の利便を増進するための地域 商業に特化した地域であり、多くの建物の建築が可能。 80% 200%、300%、400%、500%、600%、700%、800%、900%、1000%
準工業地域 主として環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便を増進するための地域 工場や住宅、店舗などの建築が可能。工場に隣接した地域。 60% 200%、300%、400%
工業地域 主として工業の利便を増進するための地域 環境を悪化させる可能性のある工場や危険物の貯蔵施設など工場メインの地域。 60% 200%、300%、400%
工業専用地域 工業の利便を増進するための地域 住宅を建築するのは不可であり、工業以外の用途の立地が制限されているエリア 30%、40%、50%、60% 200%、300%、400%

家を建てたいと考えている土地の用途地域について詳しく知りたい場合は、市役所に連絡してみてください。また、インターネット上で調べることも可能です。

4. 建ぺい率と容積率が緩和される条件

建ぺい率と容積率が緩和される条件

建ぺい率と容積率は、行政で定められていますが、条件によっては、緩和されるケースもあります。
まずは、建ぺい率が緩和されるケースからご紹介します。建ぺい率が80%の用途地域で、防災地域内にある耐火建築物は建ぺい率が100%となり、建ぺい率の制限を受けません。
その他にも、下記の条件のどちらか一つを満たすと建ぺい率が10%足され、両方の条件を満たすと建ぺい率が20%足されます。

  • 防火地域内で耐火建造物、または、準防火地域内で準耐火建造物 (耐火建造物も準耐火建造物のどちらも同等以上の延焼防止性能を有する建物も含みます)
  • 特定行政庁の指定した一定要件を満たす角地

角地の定義は自治体によって違いがあります。建ぺい率が緩和される条件は、自治体の条例の影響を受ける可能性もあるので、建ぺい率を緩和する予定で土地の購入を検討される場合は、事前に市役所などで確認してください。


次に、容積率が緩和されるケースをご紹介します。建物内に駐車場のある物件を見た経験をお持ちの方もいるでしょう。建物の中から愛車を見られ、車好きな人に人気があります。建物内に駐車場のある物件は、建物の5分の1までなら容積率の計算から除外されます。


収納スペースが多い物件にしたいとお考えの方もいるかもしれません。ロフトや屋根裏収納は、床面積の2分の1まで除外されます。建物内に地下室がある間取りだと、建物全体の3分の1までなら容積率の計算から除外可能です。


お部屋を広く見せたいとお考えの方におすすめなのは、出窓や吹き抜けです。延床面積に入らず、日当たりが良い部屋を実現できるでしょう。バルコニーやベランダも建物の外壁から出た部分が1m以内であれば、延床面積に入らず、容積率が緩和されます。

5. 建ぺい率・容積率以外にも制限がある

建ぺい率・容積率以外にも制限がある

家づくりには、建ぺい率や容積率以外にも制限があります。例えば、「斜線制限」と呼ばれる道路や隣地、北側の高さの制限です。その他にも、日照を保護するための「日影規制」や低層住宅の「絶対高さ制限」、自治体によって異なる「高度地区」の制限などもあります。


建ぺい率や容積率以外の制限を満たした上でしか、土地に建物を建てられず、指定された建ぺい率や容積率の上限まで使えない可能性もあります。斜線制限によって、建物の上部を斜めにせざるを得なかったり、最上階の天井高が低くなったりして、希望する外観にならないケースもあるでしょう。

6. まとめ

「建ぺい率」や「容積率」の計算方法を解説しました。建ぺい率や容積率に加え、斜線制限や日影規制などの制度も守る必要があります。建ぺい率や容積率を自分で計算して土地の面積に対する家の大きさを算出できますが、その他の制限を見逃してしまう可能性もゼロではありません。地域によっては独自の制限を設けているケースもあるので、市役所で確認するのがおすすめです。
希望する土地に好きな大きさの家を建築するためにも、建ぺい率や容積率、用途地域などは事前に調べるようにしましょう。

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