被災したときに申請する罹災証明書とは?申請から手続きの流れを解説!

公開日:2022年06月20日   最終編集日:2022年06月27日

被災したときに申請する罹災証明書とは?申請から手続きの流れを解説!
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目次

自然災害で被害を受けた方の悲しみや苦労は計り知れません。
被災者にとっては非常に苦しい日々を過ごすことになりますが、以前の日常生活を少しでも早く取り戻すために各種の支援に頼ることも大切です。
被災者を対象とした支援はさまざまなものがありますが、それを受けるために「罹災証明書」という書類が必要になるケースがあります。
今回はそんな罹災証明書について、その内容や申請手続きの流れなどを分かりやすく解説していきます。

1. 罹災証明書とは?

罹災証明書とは?

まず最初に罹災証明書に関する基礎的な情報をお伝えします。
被害認定の基準についても解説していますのでぜひ確認してみてください。

1.1 罹災証明書とは?読み方は?

罹災証明書の「罹災」という言葉に馴染みがない方も多いかと思いますが、この漢字は「りさい」と読みます。
罹災(りさい)とは地震や火事などの災害にあうことを指し、よく耳にする「被災」と言葉の意味は同じです。
今回の記事で解説する罹災証明書というのは、「災害により被害を受けた住居に対して、その被害の程度を公的に証明する書類」のことを指します。

1.2 被害認定の基準とは

罹災証明書は災害によってどのくらいの被害を被ったかの証明となるため、各種の支援や保険の適用を受けるときの判断材料として用いられることも多いです。
被害の程度に関しては以下の表のように分類、認定されます。


認定判定(認定基準①または②のいずれかを満たす) 認定基準①損壊部分の割合(住家の延床面積) 認定基準②住家全体に占める損害割合
全壊 70%~100% 50%~100%
大規模半壊 50%~69% 40%~49%
中規模半壊 30%~49% 30%~39%
半壊 20%~29% 20%~29%
準半壊 10%~19% 10%~19%
一部損壊 - 1~9%

災害に係る住家の被害認定基準運用指針/内閣府(防災担当)より抜粋

上記のように被害の程度は「全壊」~「一部損壊」の6区分に分けられ、それが罹災証明書に記載されます。
より分かりやすく6つの区分を説明すると以下のような被害程度のことを指します。


全壊 家の基本的な役目を果たせないほどの損壊で補修も困難
大規模半壊 構造耐力上主要な部分を含む半壊で大規模補修しなければ住めない
中規模半壊 壁や床、天井などを含む半壊で相当規模の補修をしなければ住めない
半壊 家の基本的な役目を一部しか果たせないが、補修によって元の状態に戻せる
準半壊 半壊に準ずる程度の損傷
一部損壊 準半壊に至らない程度の損傷

被害の程度は被災者が決められるわけではなく、国が定めた指針に沿って行われる調査結果から判断され、全壊や半壊など適切に分類、認定されます。

1.3 罹災証明書はどこに申請するの?

罹災証明書は市町村(自治体)の役所や総合支所に申請します。
担当部署や窓口は各市町村によって異なりますので、分からない場合は問い合わせを行うかWEBサイトにも記載されていることが多いですので確認してみてください。
ちなみに自治体に申請するのは、被害が水害(洪水・豪雨)や風害(台風・竜巻)、地盤沈下(液状化)、また地震や津波、噴火などの自然災害のケースになります。火災の場合のみ申請窓口が異なりますので注意しましょう。

1.4 火災の場合は所轄の消防署での手続きが必要

火災に関してのみ、罹災証明書の申請窓口は所轄の消防署になります。
所轄の消防署がどこか分からない場合はインターネットで検索して簡単に調べられますが、一番近くの消防署に直接行って尋ねても教えてくれるでしょう。
ちなみに東京の場合は東京消防庁のWEBサイトから住所で検索することが可能です。
その他にも日本全国の消防署を検索できる情報サイト「パブリネット」でも地域別で探すことができます。

1.5 罹災証明書は誰が申請するの?

罹災証明書の申請は被害を受けた家の所有者や居住者(同居の親族)が行うことができますが、代理人でも可能です。
ただし代理人が申請する場合は委任状が必要となりますので注意しましょう。
委任状は申請先によって所定の様式が決まっている場合や、任意様式でも受け付けてくれる場合など申請先の窓口によってさまざまです。
罹災証明書を代理人にお願いして申請する予定の方は予め申請先に問い合わせておくと良いでしょう。

2. 罹災証明書の申請に必要なものと手続きの流れ

罹災証明書の申請に必要なものと手続きの流れ

この項目では罹災証明書の申請の流れを具体的に解説します。
事前に申請手続きに必要なものや流れを把握しておくと、よりスムーズに罹災証明書の発行を受けられますのでぜひチェックしてみてください。

2.1 罹災証明書の申請に必要なもの

罹災証明書の申請には主に以下の3つが必要になります。

  • 罹災証明交付申請書
  • 被害の様子や状況がよく分かる写真
  • 身分証明書(代理人が申請する場合は委任状も必要)

罹災証明交付申請書は各申請先に用意されていますのでそれを使用しましょう。申請先によってはWEBサイトからダウンロードすることができるところもあります。

あとは写真も必要です。被害の程度を認定する判断にも影響しますので、できる限り被害の様子や状況がよく分かる写真を用意するようにしましょう。
身分証明書は、運転免許証やパスポート、マイナンバーカードなどです。既にお伝えしたように代理人が申請する場合は委任状も忘れずに用意しましょう。

2.2 罹災証明書が発行されるまでの流れ

では罹災証明書が発行されるまでの流れを確認しておきましょう。
申請から発行までは通常以下のようなプロセスで進められます。

①必要なものを準備して申請
②調査員による被害状況の調査
③被害程度の認定
④罹災証明書の発行

申請を適切に行ったあとは被災者が特に行うことはなく、発行を待つのみとなります。
罹災証明書には「大規模半壊」や「準半壊」などの認定判定が記載されますが、もしそれに不服がある場合は、再度調査をしてもらえるかを自治体の担当部署に相談してみましょう。
ちなみに被害状況の調査は自治体の職員や委託を受けた調査員によって実施され、被害判定は内閣府が定めた「災害に係る住家の被害認定基準運用指針」に基づき判断されます。

一部の自治体、また災害に伴って一時的に申請件数が多くなった場合には、調査員による調査を省略し写真などで被害判定を行うケースもあります。
ただしこの場合は「被害が軽微な場合」や「一部損壊の場合」などに限られることが多く、各自治体によっても対応は異なりますので、調査の実施の有無や内容の詳細を知りたい方は窓口で確認すると良いでしょう。

2.3 申請から発行まではどのくらいかかる?

申請してから実際に罹災証明書が発行されるまでの期間は、早いと数日から一週間程度です。ただし、必ずその期間内で発行されるわけではありませんので留意しておきましょう。
自治体によっては発行までの期間を「一定の期間を要する」として、目安が分かりづらい場合もあります。

また、大規模災害が発生した場合などは申請件数が多くなると同時に、自治体も従来のようにスムーズに対応できない場合もあり、1カ月もしくはそれ以上かかる場合も考えられます。
発行をお急ぎの方は、申請するときに担当窓口にどれくらいかかるか目安を尋ねると良いでしょう。

2.4 罹災証明書の申請期限

罹災証明書を申請するときには、その申請期限に注意しましょう。
平均的な申請期限は被災してから2週間~1カ月ですが、自治体によって以下のように異なります。

  • 埼玉県新座市:原則として災害が発生してから2週間以内
  • 佐賀県嬉野市:災害発生から原則として1か月以内
  • 宮城県仙台市:災害発生から2か月以内
  • 新潟県十日町:原則、被災後3か月間
  • 神奈川県横浜市:原則被災した日から6カ月以内
  • 東京都大田区:申請期限なし

上記のように申請期限は自治体によってさまざまですが、時間経過に比例して災害と被害の因果関係が確認しづらくなるため、できる限り早めに申請するようにしましょう。
もし申請期限を過ぎても「考慮すべき理由」などがあれば対応してくれる可能性もあります。申請期限を過ぎてしまった場合でも一度は担当窓口で相談してみるようにしましょう。

3. 罹災証明書によって受けられる支援とは?

罹災証明書によって受けられる支援とは?

冒頭で被災者を対象とした支援はさまざまなものがあるとお伝えしました。
ここでは罹災証明書を持っていることによって受けられる公的支援と民間支援について解説します。

3.1 公的支援

被災者を対象とした公的支援の代表的なものは、国の被災者生活再建支援制度です。

被災者生活再建支援制度 自然災害により居住する住宅が全壊する等の生活基盤に著しい被害を受けた世帯に対し、被災者生活再建支援金を支給し、生活の再建を支援する制度

これは自然災害により全壊10世帯以上の被害が発生した市町村などを対象にした支援制度で、最大300万円が被災者生活再建支援金として支給されます。

その他には主に以下のような公的支援があります。

その他にも保育料の減免などの支援を行う自治体もありますが、支援内容は各自治体によって異なります。
具体的にどんな支援を受けられるかはお住まいの自治体や被災の程度、所得などによっても異なりますので窓口で確認することをおすすめします。

3.2 民間支援

罹災証明書を取得している被災者を対象とした民間支援もあります。
具体的には民間金融機関から無利息や低金利で融資が受けられたり、災害保険の加入者は保険金を受け取ることも可能です。
その他にも子供が私立学校に通っている場合は授業料が免除になるケースもあります。

4. 罹災証明書以外に必要となる可能性のある書類

罹災証明書以外に必要となる可能性のある書類

この最後の項目では、罹災証明書以外に必要となる可能性がある以下の2つの書類について解説します。

  • 罹災届出証明書
  • 被災証明書

被災されたときに取得しておくと、その後の各種手続きがよりスムーズになることもありますので、必要に応じて申請し取得するようにしましょう。

4.1 罹災届出証明書

罹災届出証明書を分かりやすく説明すると「罹災証明書の申請を行った事実」を証明する書類です。
申請したらその場で発行してくれるため、この書類を持っていることで保険請求や各種支援への申し込みなどをより迅速に行える可能性があります。

4.2 被災証明書

被災証明書とは、自然災害によって屋外の設置物や自動車、また家財などの財産への被害を証明する書類です。
家屋(家)のみを対象にしている罹災証明書とは「被害を受けた対象」が異なり、保険の請求や一部の被災者支援制度を利用するときに必要となることがあります。

被災証明書は被害の程度について判断、記載されているわけではありません。証明する内容は「被害を受けた事実」で現地調査も行われないため、先ほどの罹災届出証明書と同じく即日発行されます。
申請は住んでいる市町村役場で、必要なものは罹災証明書と同じく「申請書・被害の状況や様子が分かる写真・身分証明書」です。
ちなみに「罹災証明書・罹災届出証明書・被災証明書」はどれも申請から発行まで無料になります。

5. まとめ

今回は被災したときに申請する罹災証明書について解説しました。
できれば罹災証明書を申請しなくてはならないような事態は避けたいですが、自然災害は突然起こります。
そんな万が一のときにこの罹災証明書は生活を再建させるために必要な重要書類となりますので、その存在や内容をしっかり把握しておくようにしましょう。

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