「敷金償却」は返ってこないお金?敷金と礼金との違いとは?退去時の原状回復費の取り扱いについても解説!

公開日:2022年05月25日   最終編集日:2022年06月29日

「敷金償却」は返ってこないお金?敷金と礼金との違いとは?退去時の原状回復費の取り扱いについても解説!
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目次

賃貸物件を借りるときに気になるのが、敷金や礼金です。
よく耳にするこれら二つの費用に関しては馴染みのある方は多いでしょう。


しかし、敷金や礼金の他にも「敷金償却」と呼ばれるものもあります。
敷金償却に関してはその内容をよく把握していないと、退去時の思わぬトラブルの原因になりかねません。


今回は敷金償却を分かりやすく説明すると同時に、敷金や礼金との違いについても解説します。
また、退去するときに敷金から原状回復費を引かれて残る敷金精算金についても、具体例を挙げながら詳しく解説しますのでぜひ最後までお読みください。

1. 返ってくるお金?返ってこないお金?契約前に押さえておきたい「敷金」「礼金」「敷金償却」それぞれの違いとは

## 1. 返ってくるお金?返ってこないお金?契約前に押さえておきたい「敷金」「礼金」「敷金償却」それぞれの違いとは

賃貸物件を借りるときに初期費用として支払う必要のある敷金、礼金、敷金償却ですが、退去するときに「返ってくるのか、返ってこないのか」は気になるところでしょう。
返ってくると思っていたのに返金されなければ、次の引っ越し予算にも影響を及ぼしかねません。
退去するときに返ってくるお金は入居時にしっかり契約書を確認すればある程度は予測することが可能です。


しかし、契約書に書かれている言葉の意味そのものを分かっていなければ、間違った解釈をしてしまう可能性もあります。
この項目では前述した3つの初期費用の意味や特徴、また内容の違いについて解説しますので、しっかり確認してみてください。

1.1 敷金償却(敷引き・保証金償却)とは

敷金償却は以下のような別名で呼ばれることもあります。

  • 敷引き
  • 保証金償却

ただし、これらの言葉は法律で明確にその意味が定められていません。
法律で定義されていないため、さまざまな解釈で使われることもあり、人によっても使い方が異なるのはもちろん、地域によっても意味合いが異なる場合もあります。


ただし、一般的には以下のような意味で用いられることが多いです。

借主が貸主に対して物件の契約時に支払う敷金の一種。ただ退去するときに返してもらえない種類のお金。賃貸借契約書に特約として内容が明記。

つまり、もう少し分かりやすく説明すると「敷金の一部として扱われるが、退去時に返金されることのないお金」になります。

1.2 敷金(保証金)とは

先ほど敷金償却は法律で定義されていないとお伝えしましたが、敷金に関しては民法第622条の2に定められています。


敷金を簡単に説明すると、家賃の滞納や原状回復にかかる費用などの「債務」の担保として、契約するときに借主が貸主に支払うお金のことです。
従って、借主を起因とした傷や汚れがないなどの原状回復が一切必要のない場合には、支払った敷金は全額返金されます。


ただし、退去時には原状回復工事(クリーニングなども含む)が必要になることがほとんどですので、全額が返金されることはあまりありません。
通常は敷金からそれらにかかった費用が差し引かれ、それを支払って残ったお金が借主に返されます。


このような敷金の扱われ方がよく知られているため、退去するときに予想よりも少ない金額しか返ってこないときなどに、トラブルになるケースが見受けられます。
賃貸借契約を結ぶときに支払う必要のある敷金が、「返ってくるお金なのか、返ってこないお金なのか」をしっかり把握すると同時に、記載されている内容についてもしっかり確認するようにしましょう。

1.3 礼金とは

敷金と同様によく耳にする「礼金」も契約時に支払う必要のある初期費用の一つです。


ただし、礼金は敷金とは異なり返金されることはありません。
礼金は借主が貸主に対して支払う「謝礼金」として扱われるのがその理由です。
つまり礼金を簡単に言うと、部屋を貸してくれたことに対するお礼のお金になります。


ちなみに「敷金償却・敷金・礼金」については、一律で決まった金額が定められているわけではありません。
また金額だけでなく支払いが必要かどうかも、物件やその地域の慣習などによっても異なりますので都度確認するようにしましょう。
礼金と敷金は契約するときに同時に支払うことがほとんどですので、二つを混同して考えないようにすることも大切です。

2. 敷金償却の特約を正しく理解して、退去時の敷金トラブルを回避しよう!

## 2. 敷金償却の特約を正しく理解して、退去時の敷金トラブルを回避しよう

原状回復費とそれに関連する敷金の返金は、退去するときにトラブルの元となる代表的な原因です。
そんなトラブルを回避するためには「敷金償却の特約」の正しい知識を身に付ける必要があります。


この項目では、敷金償却の法律上の解釈や退去するときに返金されるお金の計算方法などを、具体例を挙げながら解説しますので、よくチェックしてみてください。

2.1 そもそも敷金償却の特約って違法じゃないの?

敷金償却に関する特約そのものが法律に反しているのではないかと感じる人も少なくないでしょう。
違法か適法かということに関しては、法律でその言葉の意味が定義されていませんので、問題が生じたときに「どのように判断するか」という司法の見解がポイントになります。
それを踏まえて過去の裁判の例を確認すると、敷金償却が違法性であると認められるケースは少なく、一般的に合法であると判断されることが多いのが実情です。


そのことがよく分かるのが、以下の2つの最高裁判所の判例になります。

判決のポイントは、「敷金償却の金額」と「借主と貸主の間で合意があったかどうか」の2点です。
最高裁判所の判例を基にすると、敷金償却の設定金額は賃料の約3.5倍までであれば問題視されることはなく、適法であると考えられ、その範囲内であれば違法性が問われることはないと言えます。


合意の有無もまた重要です。これは「契約自由の原則」という民法の基本原則にも関係しています。
契約自由の原則というのは簡単に説明すると「契約に関する一切は当事者で自由に決めることができ、その内容について干渉されることはない」という考え方です。
従って、適切な金額が定められ当事者同士で合意している場合、違法性があるとは判断されません。


ただし必ずしも全てが適法ということではなく、「消費者契約第10条」に抵触するかどうかなどのさまざまな事情も考慮されますので「ケースバイケース」であることは留意しておきましょう。

2.2 退去時の原状回復費用の支払いはどうなるの?

では実際に原状回復費用を支払って返金されるお金はどのように計算されるのか、ということについて解説していきます。
これは退去するときに手元に返ってくるお金になりますので、自分でしっかり計算できるようにしましょう。
自分で計算できるようになると、間違いや問題があったときにも的確に指摘できるようになります。


ではまず以下の例から確認していきましょう。
ケース1

上記ケースの原状回復費は3万円です。
敷金は賃料の2カ月分に相当する28万円を払っていますので、通常は25万円(28万円 - 3万円)が敷金精算金として借主に返金されることになります。
ただ、敷金償却が14万円と定められているため、25万円の内の14万円は返金されることはありません。
従って、借主が退去時に受け取ることのできるお金は11万円(25万円 - 14万円)となります。


仮に、下記ケースのように原状回復費が14万円だった場合は敷金償却と原状回復にかかる費用が同じになるため、借主へ返されるお金はなくなります。
ケース2

2.3 原状回復費用が敷金償却額を上回ると追加請求される?

次は、原状回復費が敷金償却額よりも高くなってしまうケースでの追加請求の有無について考えてみましょう。

具体的には以下のようなケースです。

ケース3

このケースでは、敷金償却の14万円よりも高い20万円の原状回復費が必要になっています。
このときに疑問に思うことは、追加でお金を請求されるかどうかでしょう。


結論を先に言うと、追加の請求はなく、不足分の6万円は敷金28万円から敷金償却14万円を引いた「14万円」の中から捻出されることになります。
従って、足りない分を含めた原状回復費の全額は、入居時に払った賃料2カ月分の敷金28万円で対応されます。
ちなみに、このときに借主へ返却される敷金(敷金精算金)は8万円です(14万円 - 6万円)。
追加で請求が行われるのは下の事例のように「敷金賠償を含む敷金のトータル額よりも原状回復に必要となる金額が高いとき」に限られます。

ケース4

上の事例は原状回復費が35万円となり、契約したときに支払った敷金28万円だけでは7万円ほど足りていません。
この不足分を負担する義務を負うのは借主です。借主が負担しなければならない理由は、民法第621条で原状回復義務が課せられているからになります。
この事例のように敷金全額でも原状回復費をカバーできない場合にのみ、借主はその足りない金額を別途追加で求められることになります。

3. 敷金償却の特約がある場合に必ずチェックしてほしいポイントを紹介!

## 3. 敷金償却の特約がある場合に必ずチェックしてほしいポイントを紹介
ここでは、敷金償却の特約が付いている賃貸契約を結ぶときにチェックすべき以下の3つのポイントについて解説します。

  • 敷金償却の金額は適正か?
  • 敷金償却の使い道は?
  • 退去時の原状回復費用が二重請求になっていないか?

ではそれぞれを確認してみましょう。

3.1 敷金償却の金額は適正か?

まず確認すべきは敷金償却の金額が適正かどうかです。
前述したように、過去の判例から敷金償却の金額は家賃の3.5倍程度までは認められる傾向にあります。従って、それ以上の場合は「不当に高額」と考えることができますので注意しましょう。
ただし、家賃の3.5倍以内であっても周辺相場や地域特性を考慮し、敷金償却の金額が妥当かどうかを個別に判断することも大切です。


大手不動産ポータルサイトSUUMOに掲載されている物件(2021年の1~3月)のデータでは、敷金償却の全国平均額は家賃の0.88カ月でした。


敷金償却額は地域差もあり、特に関西地域では敷金賠償を設定している物件の数は少ないものの、それが設定されている物件では金額が高い傾向にあります。
最も敷金賠償が高いのは兵庫県で、その平均金額は家賃2.79カ月分と高額です。


物件を選ぶときにはインターネットで情報収集したり、不動産会社の担当者などに聞くなどして敷金賠償の相場感を掴むようにすると良いでしょう。

3.2 敷金償却の使い道は?

敷金償却が「何に」使用されるのかも理解しておく必要があります。
既にお伝えしたように、敷金償却は「敷金の一部ではあるものの退去時に返金されないお金」であること、また法的な定義は定められておらず、その意味は使う人や地域で異なるとお伝えしました。


しかし、敷金償却は敷金の一部である以上、「敷金から原状回復費として一定の金額を予め差し引いておくもの」と認識されることが通常です。


このため敷金償却は原状回復費用としても使用される必要があります。それ以外の使い道としては、前述した民法第622条の2に記載されている家賃滞納などの借主の「債務」に対してです。
もし借主の債務を解消する目的以外で敷金償却が使われている場合は不適切と言えますので、不明な点があれば不動産会社などに確認するようにしましょう。

3.3 退去時の原状回復費用が二重請求になっていないか?

退去時の原状回復費用が二重で請求されていないかも確認するようにしましょう。
敷金償却は返金されないお金ですが、謝礼金という意味合いで支払う礼金とは異なり使用目的は「借主の債務」と決まっています。
返金されないというのは、原状回復費用などの借主の債務に充てても残る残金に対してです。


敷金償却として予め原状回復費用を支払っているにも関わらず、別途追加請求が必要となるのは「原状回復費用が敷金償却額を上回ると追加請求される?」の項目で既にお伝えしたような「敷金賠償を含めた敷金全額でも原状回復費が賄えない」ケースなどに限られます。
そのようなケース以外で原状回復費用が別途請求されていないかをよく確認し、二重請求の有無をしっかりチェックするようにしましょう。


特に、原状回復費とは別に「修繕費」や「修理費」などの似た名目で請求がある場合は、内容をよく確認することをおすすめします。
原状回復費用については、別の関連記事内の「原状回復と敷金の精算について」で責任範囲を詳しく解説しておりますので、あわせてご確認ください。

4. まとめ

今回は「敷金償却」に関してお伝えしました。
敷金償却は、敷金や礼金とは異なる性質を持つ費用になりますので、この記事をぜひ参考にしていただき内容をよく理解していただければと思います。
敷金償却については賃貸契約書の特約に記載され、また重要事項説明でも伝えられるべきものです。契約前にしっかりと内容を把握し、退去時の予期せぬトラブルを防ぐようにしましょう。


不明な点がある場合は、不動産会社の担当者に直接確認することもできます。またお部屋探しをするときに、「敷金償却のない物件」という条件で物件を紹介してもらうことも可能です。
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