実は隠れた人気?気になってる人も多い借地権付きマンションとは?その魅力とデメリットを紹介

公開日:2022年10月06日   最終編集日:2022年10月06日

実は隠れた人気?気になってる人も多い借地権付きマンションとは?その魅力とデメリットを紹介
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目次

マンション探しをしていると馴染みのない言葉を見聞きしたことがある人は多いでしょう。それらの言葉はいわゆる不動産用語であり法律の専門用語でもあります。
今回はそんな言葉の一つである「借地権」について分かりやすく解説し、販売されている借地権付きマンションの魅力や特徴、またデメリットなどを紹介していきます。その他にも関連して知っておくべき用語もあわせて解説しますので、ぜひそれらの意味を把握しスムーズにマンション選びができるように役立ててください。

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1. 借地権ってなに?

借地権ってなに?

まず最初に本題である借地権について解説します。難しそうなイメージがありますが、マンションの購入を検討している人は意味を知っておくべき用語になりますので確認していきましょう。

1.1 借地権とは?土地権利の種類は大きく分けて2つ

土地の権利は大きく分けて所有権と借地権の2つの種類があります。

1.1 借地権とは?土地権利の種類は大きく分けて2つ(所有権)

1.1 借地権とは?土地権利の種類は大きく分けて2つ(借地権)

所有権と借地権を分かりやすく言い換えると、所有権は不動産を所有している名義人が持つ権利であり、借地権はその所有者へ対価を支払うことによって不動産を借りて使用する権利です。
これは土地だけでなくマンションなどの建物の不動産についても同様になります。よく耳にするマンションの区分所有権というのは所有権の一種で、マンションを区分分割し、それぞれの所有者が持つ権利です。
したがって一般的な分譲マンションの場合は、建物一棟に対して複数の所有者、つまり区分所有者が建物や土地の所有権を共有している状態になります。

1.2 借地権には「旧法」と「新法」が混在している

借地権は法律で定められた債権的な権利ですが、その法律に該当するのが旧借地法と借地借家法です。前者は旧法、後者は新法と言われることがありますが、旧法は大正10年(1910年)に制定された借地法で、新法は平成4年(1992年)8月に施行されています。
つまり旧法を改正したものが新法で、借地権の「期間の定めの有無」や「存続期間」また「更新の有無」などの内容に違いがあります。


現在はこの旧法と新法が混在している状態で、具体的には新法施行の前に締結された借地契約に関しては旧法が適用され、それ以降の契約には新法が適用されているという状況です。
ただし新法施行前に結ばれた借地契約であっても、当事者の合意によって新法へ適用させる変更を行うこともできます。

1.3 借地権は「地上権」と「賃借権」に分けられる

先ほど借地権について「不動産の所有者へ対価を支払うことによって不動産を借りて使用する権利」とお伝えしましたが、これは借地権における「賃借権」になります。
この貸借権は貸借契約を結んだときに借主が得る権利で、前述したように所有者の承諾なしに譲渡や売買することはできません。マンションの一室を賃貸契約したときのことを考えると分かりやすいでしょう。


ただ借地権にはもう一種類の地上権という権利があります。地上権も所有者の不動産を借りて使用などを行える点は賃借権と同じですが、具体的には土地を借りてそこに建物を建てる権利のことです。例えば建物所有を目的として土地を借りることを考えると分かりやすいでしょう。
地上権が設定されている場合、その土地に建物を建て、それを第三者に貸したり譲ったりすることができます。その他にも担保として機能し金融機関から融資を受けたり、所有者に登記も求められます。
先ほどの賃借権は債権で、この地上権は物権ということになります。この二つの権利については次の項目で解説していますので確認してみてください。

1.4 あわせて知っておきたい「物権」と「債権」について

前の項目で借地権は「地上権」と「賃借権」に分けられ、前者が物権、後者が債権とお伝えしました。
債権とは「対象となる人に特定の行為をさせる権利」のことで、例えばお金を貸した相手に対して返金を求めて実行させるときの権利と考えればイメージしやすいでしょう。この場合、お金を貸した人が債権者、借りた人が債務者となります。


一方、物権とは「物に対する支配権」のことです。例を挙げると、車を自分名義で現金一括で購入した場合に「この車は自分のものである」と主張できる権利です。つまり物権である地上権は所有権と同等程度の強い権利ということになりますので、例えば建物付きの土地を購入しようとしたときに、登記簿に地上権があると注意しなければなりません。

2. 借地権の主な種類

借地権の主な種類

この項目では新旧の借地法で知っておくべき以下の借地権について要点を中心に解説します。

  • 旧法借地権
  • 新法普通借地権
  • 新法定期借地権

2.1 旧法借地権

旧法の借地権の大きな特徴は、一度借地契約したらずっとその土地は戻ってこないと揶揄されるほど所有者の立場の弱い契約であることです。
旧法では「堅固建物」と「非堅固建物」という建物の構造によって存続期間が前者は30年以上、後者20年以上と異なりますが、更新は所有者が合意しなくても借りている人が希望して更新料を支払えば更新される決まりになっています。

2.1 旧法借地権

更新後は更新前と同じ30年以上(非堅固建物は20年以上)の存続期間を定めることができるため、所有者である土地の地主からすると一度の更新で最低でも半世紀以上の契約が続き、さらにそれ以降も継続的に借地契約が続く可能性がある契約形態です。
ちなみに旧法の適用期間に契約した借地契約を更新した場合、法定更新となり契約そのものを新法への適用に切り替えない限りはずっと旧法が適用され続けます。

2.2 新法普通借地権

新法の借地権には大きく分けて二つの種類があり、その一つが普通借地権です。
新法の普通借地権は期間満了時に地主に正当事由がなければ更新し続けることが可能なため、その内容は先ほど説明した旧法と酷似しています。
両者の違いは建物の構造によって存続期間を区別しなくなった点と、更新後の存続期間が20年以上、2回目以降の更新では10年以上に定められた点です。

2.3 新法定期借地権

新法のもう一つの借地権の種類が定期借地権です。
この定期借地権は更新という概念がなく、定めた存続期間に達した時点で借地契約は終了します。したがって所有者も安心して取引できる点が旧法借地権と新法の普通借地権とは異なります。
ちなみにこの定期借地権には以下の3つの種類があり、それぞれ用途や存続期間終了時の対応が異なりますので、使用目的に応じた適切な種類を選ぶことが求められます。

2.3 新法定期借地権

2.4 それぞれの特徴と違い

この項目のまとめとして新旧借地権の違いを表にまとめましたので確認してみてください。

それぞれの特徴と違い

3. 注目を集める借地権付きマンションの魅力とは

注目を集める借地権付きマンションの魅力とは

普通の分譲マンションとは異なる権利が付いている借地権付きのマンションですが、実はマンションの購入を検討している人々に一定の人気を得ています。ここではその理由について解説しますので、マンション探しをしている人はぜひチェックしてみてください。

3.1 借地権付きマンションが注目される理由

借地権付きのマンションが注目され人気がある理由には主に以下のようなことが挙げられます。

  • 好立地な物件が多い
  • 価格が安い
  • 一部の税金がかからない
  • 相続時の税金を抑えられる

ではそれぞれの理由を確認していきましょう。

3.2 立地条件が良い

借地権付きマンションは駅前の一等地など非常に良い場所に立地していることが多いです。この背景には「土地は売りたくないが運用したい」と考える所有者にとって定期借地権付きの借地契約が魅力的であるという理由があります。
単に土地を寝かせておくよりも一定期間貸し出せば不動産収入が得られ、借地契約の存続期間が終われば確実にその土地は手元に戻ってきます。
「売りたくない土地」というのは先祖代々受け継いできた好立地の土地などが挙げられますが、そんな土地を持つ所有者の土地を活用してマンションが建てられるため、定期借地権付きのマンションは立地条件が非常に良いことが多いです。

3.3 物件価格が抑えられる

物件価格が安いことも借地権付きマンションが人気を得ている理由の一つです。
一般的に借地権付きのマンションは同じ条件の普通の分譲マンションよりも2割ほど安い傾向にあります。価格が割安な理由はマンションの購入者である区分所有者が土地の所有権を取得できないからですが、それに不都合を感じない人にとってはとてもお買い得な物件となります。

3.4 土地に対する固定資産税と都市計画税がかからない

土地の所有権がないため、それに対する固定資産税と都市計画税を支払う必要がないことも借地権付きのマンションの魅力と言えます。
土地に関する税金は所有者に納税義務があるため、区分所有者にとってはマンション購入後の維持管理費を抑えることが可能です。

3.5 相続時の税金が抑えられる

マンションなどの不動産を相続するときには相続税が発生しますが、借地権付きマンションはその税金が抑えられることも注目されています。
相続税の納税額が抑えられる理由は、それを算出するときの不動産評価額が一般的なマンションよりも低くなるからです。
不動産資産の相続に伴う負担をできるかぎり軽減させて次の世代へ引き継ぎたい人にとって、借地権付きマンションは検討する価値のある選択肢と言われています。

3.6 購入時よりも高く売却できる可能性がある

築年数が浅く、まだ借地契約の存続期間が長い借地権付きマンションは、中古市場で購入時よりも高く売却できる可能性があることも人気の理由の一つです。
若い世代を中心にマンションに求めるものや考え方は変化しており、ずっと住み続けることを目的としてマンションを購入する人は減ってきています。
そんな人達にとって価格が割安で好立地に建っているマンションはニーズがあるため、将来の売却を見据えて借地権付きマンションを選ぶ人も少なくありません。

4. 借地権付きマンションのデメリット

借地権付きマンションのデメリット

知る人ぞ知る魅力の多い借地権付きマンションですが、反対に把握しておくべきデメリットもあります。ここではそんなデメリットについて解説しますので、購入を検討している人は確認してみてください。

4.1 期限が来たら更地にして返す必要がある

借地権付きマンションの多くが定期借地権付きで契約されていますが、前述したように存続期間が終了したときには更地にして返す必要があります。つまり住める期間が限られていることが定期借地権付きマンションの最大のデメリットです。
借地契約してからどのタイミングで購入するかにもよりますが、終の棲家としてマンションを購入したい人にとっては、定期借地権付きマンションは適切な選択肢とはならないことがありますので注意しましょう。

4.2 住宅ローンの審査が厳しくなる

借地権付きマンションの場合、金融機関が行う住宅ローンの審査が厳しくなることもデメリットの一つです。
この主な理由は担保と抵当権が関係しています。土地の所有権のある一般的な分譲マンションと比べて借地権付きマンションの担保価値が低くなるのは当然ですが、何らかの契約違反によって借地契約が解除されて担保として機能しなくなる可能性もあります。


また、抵当権設定のため借地権を登記するときには地主の承諾が必要となり、これを実際に行うことも簡単とは言えません。
融資する金融機関が最も避けたいのは融資金が回収できなくなることです。それを回避するために担保に抵当権を設定しますが、それが複雑で容易ではないため金融機関の審査は必然的に厳しくなります。

4.3 地代や解体費用準備金などがかかる

地代や解体費用の準備金の支払いが必要なこともデメリットの一つです。
土地は借りている状態ですのでその期間は地代を払う必要がありますが、これは一般的な分譲マンションでは必要ありません。地代に加えて建物を解体するための費用が必要なことも同様です。
定期借地権付きマンションは存続期間の終了に伴って更地にして所有者に返還する必要があることは既にお伝えしました。それを行うためには建物を解体しなければならず、その費用負担は定期借地権付きマンションならではのデメリットです。

4.4 売却時に地主の承諾が必要になるケースがある

もし借地権が地上権ではなく、債権である賃借権で借地契約されている場合、売却するときには地主の承諾が必要になります。
承諾が得られなければ売却することができないため、借地権付きマンションが賃借権の場合は売却できないリスクもデメリットとして把握しておきましょう。

4.5 契約の残存期間が短いと売却しにくくなる

定期借地権付きマンションを売却するときには、借地契約の残存期間の長さが「買い手が見つかるかどうか」の重要なポイントの一つになります。
残存期間とは借地契約の存続期間の満期を迎えるまでの残りの年数のことです。例えば一般定期借地権の期間が50年と設定されている場合、契約から10年後の残存期間は40年になります。
満期を迎えたら更地で返還となるため、もしこの残存期間が短いと買い手は長く住むことができません。したがって中古市場では不人気となり、売りたくても残存期間が短いため買い手がつかない可能性は高くなります。

5. 借地権付き億ション

借地権付き億ション

ここまで借地権付きマンションについて解説しましたが、最後に借地権が付いている6つの億ションを紹介します。どんな借地権付きマンションがあるのか、ぜひチェックしてみてください。

5.1 旧法地上権:マノー乃木坂

最初に紹介するのは東京都港区赤坂にあるマノ―乃木坂です。
築40年を超えるマンションですが、快適な住まいを維持するためにこまめにメンテナンスが行われています。このマンションの土地の権利は旧借地法の地上権です。新法ではなく旧法であること、また所有者(地主)がこのマンションの管理組合法人であるため、更新も安心で長く住むことができます。

マノー乃木坂 物件一覧

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5.2 普通借地権:ブランズ愛宕虎ノ門

次に紹介するのは2021年2月に完成したブランズ愛宕虎ノ門(東京都港区虎ノ門)です。
分譲価格が3億円を超える地上17階建ての高級高層マンションで、ビジネス街として今もなお進化しつづけている注目の虎ノ門エリアに建てられています。
このマンションの土地は新法普通借地権です。築浅で残存期間も長く、地主に正当事由がなければ更新し続けることが可能です。したがって長く住むことも、売却を見据えた不動産資産としても魅力的な物件と言えます。

ブランズ愛宕虎ノ門 物件一覧

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5.3 定期借地権:パークコート渋谷 ザ タワー

次に紹介するのは2020年に竣工したパークコート渋谷 ザ タワー(東京都渋谷区宇田川町)です。
地上39階建てで高さが約140mにもなる超高級タワーマンションで、最先端の設備と充実したサービスを提供しています。このパークコート渋谷 ザ タワーの土地の所有者は渋谷区で、借地契約は定期借地権となっています。更新はできず存続期間終了時には更地にして返還することになっていますが、存続期間は72年という長期設定ですので、ハイクラスなタワーマンションを割安でお得に購入したい人にはピッタリかもしれません。

パークコート渋谷ザタワー 物件一覧

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5.4 定期借地権:銀座タワー

次に紹介するのは東京都中央区銀座にある銀座タワーです。
日本で最も土地価格が高い銀座初のタワーマンションとして2002年1月に分譲されたときには非常に大きな注目を集めました。高強度コンクリートと鉄筋を使った躯体、さらには制震ダンパーや保安電源発電機も完備、また24時間有人で管理も行われており安心して住むことができます。
この銀座タワーは定期借地権でその期間は2053年までです。したがって2053年には取り壊されることが決まっています。それゆえ物件価格は非常に割安で、分譲当時は約60㎡前後の住戸で3000万円、約75㎡の住戸で5000万円という銀座では考えられない価格でニュースにもなったほどです。

銀座タワー 物件一覧

銀座タワーの売買・賃貸情報を豊富な写真・概要と共に詳しくご紹介。都心の住まい探しは高級不動産専門のシンシアにお任せください。銀座タワーの所在する中央区のマンション相場価格と賃料の査定も承っております。

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5.5 定期借地権:シティタワー品川

次に紹介する借地権付き億ションは東京都港区港南にあるシティタワー品川です。
シティタワー品川は2008年に完成、地上43階建てで総戸数は828戸、品川エリア屈指の大規模高級タワーマンションになります。高層階からは湾岸エリアやレインボーブリッジなどの豪華な夜景が楽しめるほか、敷地内には飲食店やスーパーや飲食店、また医療施設もテナントとして入居しており、便利な暮らしが実現可能です。
このシティタワー品川も定期借地権付きマンションですが、存続期間は2080年10月末までと長く、世代をまたいで暮らすことができる魅力的な物件と言えます。

シティタワー品川 物件一覧

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https://residence.xincere.jp/buildings/95

5.6 定期借地権:プラウド南麻布

最後に紹介する借地権付き億ションは東京都港区南麻布のフランス大使館に隣接して建てられたプラウド南麻布です。
こちらは2013年完成で存続期間60年の定期借地権付きとなっており、2022年時点でも約50年の残存期間が残っています。フランス大使館と同じデザインテイストで閑静な住宅街に建つ割安な高級物件となっており、定期借地権付きだからこそ実現できたと評価されるほどの人気物件です。

6. まとめ

今回は借地権付きマンションについて、その意味や知っておくとマンション選びに役立つ魅力などを解説しました。借地権付きならではのメリットがある一方、一般的な分譲マンションにはないデメリットもあります。
そんな借地権付きマンションは新しいマンションのあり方として注目されており、これから新しい物件も増えていくとも言われていますので、ぜひネガティブな先入観を持たずにマンション選びの選択肢に入れていただければと思います。


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